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2015年1月18日日曜日

簡単・・・金融世界の始まり

カトリックの世界で、ローマ教会の教皇によるフランク族の王への戴冠(王冠をかぶせること)によって、神の力がフランク族の王に宿り、ヨーロッパ世界全域を支配する皇帝(神聖ローマ皇帝)になれたように、
通貨の世界では、中央銀行を通じて、国家は神の世界の入り口に立つことができ、そのことによって神の持つ無限の通貨を手に入れることができるようになった。
1.神様 → ローマ教会 → 皇帝(政治権)
2.神様 → 中央銀行  → 国家(経済権)
1と2は、同じ構造を持つ。ローマ教会と中央銀行はその点で似ている。

ヨーロッパの国家は、政治権力を手に入れたのと同じ方法で、経済権力も手に入れたのである。
ヨーロッパ中世社会では、神の世界の入り口がローマ教会であることは強く意識されていたことであり、そのことがこのようなアナロジーを生んでいく。
金融の世界では、無限の金融力の入り口が中央銀行にあるのであり、中央銀行はそこから無限の通貨を汲み出すことを許されていく。

中世ヨーロッパ社会では『教皇は太陽、皇帝は月』と言われるように、皇帝という世俗権力の力の源泉はキリスト教会の教皇にあった。
それと同じように、近代国家という世俗権力の力の源泉も、無から通貨を生み出す中央銀行にあった。
中世の聖域がキリスト教会だとすれば、近代の聖域は中央銀行である。
そしてその中央銀行を構成しているメンバーは、国家とは別の領域に住む市中の銀行家たちである。その多くは金貸し業としてさげすまれてきたユダヤ人銀行家であった。


王権が一つの権利なら、通貨も一つの権利である。
王権は通常、権力と表現されるが、権力は権利が肥大化したものであり、権利の一種である。
それと同じように通貨も何かを買うことのできる権利である。無限の通貨を持つものは人と物に対してその権力を行使しうる。それは現代の巨大企業が、その財力により権力を行使するのと同じである。
ヨーロッパの近代国家は、この2つの権力、つまり政治権力と経済権力を統合することによって生まれた。
具体的には、この2つの権力を統合した国が戦争を行い、その戦争に勝利していったのである。軍事には政治力だけではなく、経済力が必要である。国家は中央銀行に国債を引き受けさせることによって、戦費をいくらでも調達できるようになった。

そのことにいち早く気づいたのがイギリスであった。
初の本格的中央銀行は、1694年のイングランド銀行である。

1700年代のイギリスは、アメリカとインドにおいて、フランスとの植民地戦争に勝利していく。イギリスとフランスとの差は中央銀行を持っているか、そうでないかの差である。
その結果として、1800年代に大植民地帝国である大英帝国が成立する。

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