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2015年7月20日月曜日

白井聡氏「自民党はCIAに金をもらって始まった政党」「日本の戦後の政府は煎じ詰めればその本質は薄汚い傀儡」国会前抗議行動

(動画から書き起こしここから)
みなさん、こんばんは。政治学を勉強しております白井聡と申します。連日の行動、お疲れ様でございます。
今、大変な政治の危機。もうこれは法治主義・立憲主義の根幹に関わるようなとんでもないことが起こっているのは、皆さまご承知の通りであります。
しかしですね、これはある意味、日本の政治の本質っていうのが現れちゃってるっていうことでもあるんですよ。
 
と言うのは、今ね、こんな違憲のことを無理やり通そうとしているのはなぜだろうかって言ったら、政府自民党にとってはですよ、憲法に違反するということ憲法を守るということと、アメリカとの約束を守るということと、どっちが大事なの? 圧倒的に自民党にとったらですよ、アメリカとの約束を守ることの方が重要なんですよ。そういう政府なんです。
で、これはね、今始まったことじゃないんだよ。自民党なんてのはね、そもそもCIAに金をもらって始まった政党なんだよ。
岸ってのはね、安倍さんの尊敬するお爺ちゃん、岸ってのはさ、アメリカと手を握って巣鴨プリズンから出してもらった人なんだよね。
だから、今奴らがやってることはある意味、当たり前のことなんですよ。もう、こんなのはたくさんなんだよね。
だからね、沖縄で翁長知事がですよ、辺野古基地の問題をめぐってこう問いましたね。「日本の民主主義の品格が問われている」と。鋭い問いだと思いますよ。
この品格の問題だっていうのはね、ここにも全く同じように当てはまるんですよね。結局、この日本の戦後の政府っていうのは、煎じ詰めればその本質は薄汚い傀儡じゃないかと。
で、じゃあ、その傀儡の下で生きてるわれわれ国民というのは、何なんだと。その傀儡がたまに投げてくれるさあ、おこぼれを漁り回ってるだけの存在に過ぎないのかと。
ここに集まっている人たちはさあ、みんな、もうそんな存在でいてたまるかと、そういう決意を固めた人たちだと思うんですよね。
それにしてもですよ、何で奴らは正攻法を取らないんだろうと。新安保法制ね、そんなに必要だっていうもんだったら、まず憲法を変えてやればいいじゃないかと。
だけど奴らはね、できないわけですよ。国民投票に通したら、改憲が失敗するかもしれない。だけどもさ、本当に自信があるんだったら、それこそお得意の再チャレンジで何度もやればいいじゃないですか。
だけど、それができないっつーのはなぜか。それは根本的には自信がないからだよ、あいつらにはね。
あいつらは、本当は自分たちが何者なのか、奴ら自身が一番よく知ってるはずだよ。
あの連中はね、あの70年前のとんでもない戦争をやったその責任というのをごまかして取らずに、そういうごまかしによって成立した権力であって、今それをどうやって維持しているのかと言ったら、例えばTPPなんかに代表されるように、日本の有形無形の富、これを資本に売り飛ばすことによって、自分たちの権力を維持しようとしてるんですよね。
もう、こんなのはたくさんですよ。
私たちが闘っている闘いというのは、もう歴史的な闘いだと思います。こうやって連綿と続いてきたものを倒せるのかどうか、歴史のくずかごに放り込めるのかどうか、それがかかっているんですよ。
この夏は、関ヶ原だと思います。皆さん、頑張りましょう。私も闘い抜く所存であります。どうもありがとうございました。
(書き起こしここまで)

2015年7月19日日曜日

転載記

戦前の日本の軍部独走は、それをマスコミが応援し、それを信じた国民もそれを応援した。
しかし今の安倍政権下の独裁は、御用放送のNHKを除いて、マスコミもそれを批判し、若手を中心に国民の批判の声も高い。
しかもそれをアベシンゾーは分かった上で、『国民の理解が十分でない』と発言した上で、安保法案(戦争法案)を衆議院で強行採決した。

通説では、ファシズムは圧倒的民衆の支持の上に成り立つとされている。
しかし今の戦争法案に民衆の圧倒的支持はない。
ならばこれはファシズムなのか。
これは何なのか。
これはファシズムとは違った何か『あるもの』である。
それはファシズムよりももっとタチの悪いものではないのか。

アベシンゾーは『(民主的合意に向けて)国民に丁寧な説明を行っていく』などとうそぶいているが、そんなことは当てにならない。

民主主義が機能するためには、事実に基づいた正確な情報が必要である。
ところが今の日本にはその正確な情報がない。
あってもそれがあまねく国民全体に行き渡っていない。
こういう中で、国民は何に基づいて正確な判断を下すのであろうか。
多くの国民は政府の説明が胡散臭いことに気づいているが、事実が何かということについては、正確に知らされていない。

私はこの戦争法案は、『アメリカの戦争に日本が協力する危険が発生することだ』と思っているが、それを裏付ける日米間の水面下でのやりとりが正確に報道されているわけではない。
多くの国民と同じように、今までの流れから見た状況証拠によってそれを感じ取っているだけだ。
状況証拠は証拠にはならないというのなら、この話はそれで終わりである。
しかし戦後の日米間の交渉ごとで、正確に報道されたものがあったのだろうか。

民主主義の基礎をなすものは正確な情報である。
今の日本にはそれがない。
いや戦後ずっとそうだったのかも知れない。
確かに戦前の日本には検閲があったが、今の日本には検閲の前に検閲がある。
しかしそういうこと自体がニュースにならないようになっている。
知り合いの息子が大学の研究者になって中国で起こった戦前の南京事件を調べていたら、学長からストップがかかった、ということを小耳に挟んだりする。
このようなことは日本中のあちらこちらで起こっていることだ。
しかも、このようなことは戦後日本の始まりから起こっていたことだ。

このような中で行われてきた日本の民主主義とは何なのか、ということが70年経った今問われている。
政府がNHK会長の人事権を持ち、アベシンゾーに選ばれた籾井という男が会長になり、陰に陽に情報を操作し、戦争法案が衆議院を通過する時には国会中継さえ行わない。
これでは国民は、何が起こっているのか分からないだろう。
アベシンゾーが『国民に丁寧な説明を行っていく』というウソはそういうことなのだ。
人事権を握ることによって、検閲の制度は取らなくても、検閲の前の検閲が行われている。
今の日本はそういう社会だ。
残念ながら我々の世代はそういう世代だ。
2000年代初めから始まった、異様な小泉・竹中改革の中でも、批判はするがそれを公然とは発言しなかった世代である。そういう世代が今社会のトップ層に陣取っている。

『上を批判するなどとんでもない。上の指示を受けてから動くのではすでに遅い。上がやりたいことを先に感じ取って自分で動け』

そのような研修を私は目にしてきた。小泉時代に。
『これでは自分の判断はできないな』
私がそれを悟った時代だった。

そういう人間をたくさん見てきた私は、今の50代が本当に動くとは思えない。
彼らは『お上』に順応してきた世代なのだ。
彼らの子供時代は、1960年代の高度経済成長期で、日本の未来はもっと明るくなるように見えた時代だった。この感覚は今の40代にも一部受け継がれている。

しかし30代は違う。
彼らは日本の未来が明るいなどという幻想を抱いていない。
20才前後に平成不況、就職難など苦しい現実を突きつけられた世代である。
そしてそれは今も過去形では語れない厳しい現実がある。

しかし50代以上の世代は、アベシンゾーを含め『お上に従うことは正しい』としてきた世代なのだ。そしてそれで生きることができた世代なのだ。そのことを他の世代はきちんと抑えておく必要がある。

日本の『お上』とは何なのか。

私が20才のころ『俺はアメリカナイズされてるからなあ』と自慢げにいう友人がいた。
今の若者でそんなことを自慢げに言う者がいれば、周りから笑われるだろう。
この感覚の違いが今の50代には分からない。
ちなみにその友人は今、新聞社のお偉いさんをやっている。
『彼ならこういう記事を書くだろうな』、そう思える記事が日本の新聞には山ほどある。

アメリカのことを批判的に見たことがない人間に、アメリカの占領下から始まった日本の戦後の真実がつかめるだろうか。
日本の戦後報道はアメリカ軍のプレスコードから始まった。いわゆる報道統制だ。

報道統制の中で日本の民主主義が生まれた。
占領政策の中で日本の民主主義が生まれた。
日本の民主主義の発生時点の根幹はここにある。
そこに問題の根が巣くっている。

『よらしむべし、知らしむべからず』
この統治方式の善悪はあえて問わない。
しかし確実に言えるのは、これは民主主義のルールではない。
アベシンゾーの怖さは、そのことを分からないままものを言っていることだ。

ギリシャがEUを離脱することを避けた。

そのことはEUのためにはよいことだ。

私はこのことをギリシャとEU(ドイツ)の問題としてみていない。
アメリカとEU(ドイツ)の問題としてみている。

ギリシャのチプラス首相が、EUに残ったということは、ギリシャがドルを取らずユーロを取ったということだ。

1971年のドル=ショック以来ドルの凋落は激しいが、それに対抗しうる通貨がなかった。そのドルに対抗しうる通貨として初めて登場したのがユーロである。
このユーロには金融政策と財政政策の分離という難しい問題があることは指摘されるとおりだが、それでも現在の国際金融の中で、ドルに対抗しうる通貨としてユーロしかないことも事実だ。

2008.9月のリーマン・ショックの1年半後、2010.2月に突如として起こったのがギリシャ危機である。
これには、アメリカによるユーロ潰しではないかという噂がもともとある。
このとき、オバマはすでにアメリカ大統領に就任しているが、この動きはオバマとは関係のないところで引き起こされている。

このころ日本は民主党政権下で、その直後から激しい小沢一郎(民主党幹事長)叩きが始まる。
そして3ヶ月後の2010.5月には、IMFが日本に対して消費税の引き上げを求めるという異例の声明を出した。

すると日本では、翌月の6月2日に鳩山首相と小沢幹事長がW辞任し、6日後には菅直人が首相に就任した。そして6月17日には、唐突に菅直人が消費税10%に言及した。
菅直人は9月14日に民主党代表選挙という不正選挙で小沢一郎に勝利した。するとその翌日の9月15日には、2兆円のドル買い介入を行った。日本のドル買い介入は米国債の購入をという形を取る。つまりアメリカの赤字財政を助けたのである。
さらに翌月の10月1日には、菅直人はこれも唐突にTPPへの参加検討を発表した。
これらは明らかに親米路線への方向転換である。

次の野田佳彦首相になっても、民主党はドル買い介入を続けた。
野田佳彦は、翌年の2011.10.31には、史上最大規模の8兆円のドル買い介入を行っている。
しかしこれら2人の首相は民主党が政権の座を引きずり降ろされると、今では見る影もない。国民の支持がなかったからである。
彼ら2人は完全にアメリカの傀儡であった。そして完全なアメリカの使い捨てだ。
このような政治家が日本にはまだいる。

実はその3ヶ月前、2011.8.2に、アメリカは米国債務上限引き上げ法を成立させ、さらなる追加の借金ができるようにして、デフォルトを免れている。
EUはすでにこのようなボロ米国債を買わないが、それを買ったのが日本である。それが、2011.10.31のドル買い介入である。それも史上最大の8兆円のドル買い介入である。我々日本人の血税はアメリカのファイナンスのために貢がれている。
リーマンショック後のアメリカの日本資産の略奪はなりふり構わない。

2年後、2013.8月には、アメリカの債務上限問題が再度表面化する。
2ヶ月後、2013.10.1日には、アメリカ下院で暫定予算が不成立になり、アメリカの政府機能が一部ストップするという異例の時代に陥った。
折しもこの日は、日本で消費税8%の導入が閣議決定された日であった。
アメリカは借金漬け、それをファイナンスするために日本は増税するという象徴的な日であった。
その月の2013.10.17日には、アメリカは再度の債務上限引き上げを可決し、デフォルトを回避した。
このようにアメリカは借金を続ける『死に体』国家になっている。国家として機能していない。
アメリカは今、財政再建策を提示できないまま、永遠に借金を続けていくしかない構造に陥っている。
そして日本はそういうアメリカを永遠にファイナンスしていくしかない罠にはまっている。これが日米構造改革の成果である。構造上の問題である。
異次元の金融緩和も、TPPへの参加もこの構造上の罠にはまっていくだけである。

アメリカは借金することだけで生き続けようとしている。
その生命維持装置が、世界の基軸通貨であるドルの発行権限である。
いくらでも自由に刷れるドルは、それを印刷するだけで、いくらでも他国から借金できる魔法の紙幣である。
アメリカはこの魔法の紙幣を発行できる限り、飢え死にすることはない。
これさえ持っていれば、借金の上限はない。無限大に借金を重ねていくことができるし、実際そのように借金を増大し続けている。
しかしこの借金は決して元金の返済をしない借金である。
しかしいつまでもそれを続けていれば世界経済はもたない。

ドイツはそのことを意識している。
ドイツがギリシャに借金返済を迫るのも、そのことを意識しているからである。
当然そのことはアメリカにとっておもしろくないことである。
同じ借金大国アメリカにとって、ギリシャへの批判はアメリカへの批判である。

『借金を返せ』ということは当然ことである。
今世界が抱える最大の問題は、この当然のことが言えないことにある。

ドルとはアメリカの借金である。
ドル紙幣はアメリカの発行した借用証書である。(正確にはFRBだが)
この借用証書には何の裏付けもない。ただ輪転機を回しただけである。それだけのコストでいくらでも発行できるのが、ドルショック以降のドルである。
これが世界中に蔓延している。
どこの国もドルを欲しがらない。
そんななかで世界最大のドル買い介入を行っているのが日本である。

今ドルは、75円 → 122円、とドル高になっているため、日本はさしあたってドル買い介入をする必要がない。
しかしその代わりに日本に要求されていることが、アメリカへの軍事援助である。
日本には憲法上、集団的自衛権はない。にもかかわらず、自民党は明日にも戦争法案を衆議院で強行採決しようとしている。

このことは日本がアメリカの借金財政をファイナンスしていることと何ら変わらない。
いやそれ以上に、日本人の財産だけではなく、生命までも脅かすものとして、どこまでもアメリカの罠に組み込まれていくことを示している。

アメリカに自力復活の力は残っていない。
だからアメリカはドルのライバルとしてのユーロの力を削減しようとしてギリシャ危機を仕掛けた。
軍事的には、日本国憲法を無視してまで、日本に軍事協力をさせようとしている。

アベシンゾーは2007.9月に一度首相を退いたが、5年後の2012.12月に首相に復活している。
その間死んだふりをしていたが、実はアベノミクスというとんでもない毒薬を仕込まれていた。
菅 → 野田 → 安倍、という首相の交代劇は、実は親米政権として一貫したものである。
菅と野田は、大々的にドル買い介入を行ってアメリカを支援し、
安倍は、黒田を起用して日銀に異次元の金融緩和を行わせ、アメリカに日本の資金を貢いでいる。

昨年の2014.10.29日にアメリカが量的金融緩和第3弾(QE3)を終了すると、
その2日後の10.31日に日銀が追加の金融緩和を行ったことについても、日米双方の金融政策が逆方向を向いているなどとマスコミはピントはずれな解説をしていたが、
何のことはない、日本がアメリカにお金を貢いでいるという構造は一貫しているのである。

小沢叩きも、アベシンゾーを再度首相にするための準備に過ぎない。
アベシンゾーとはそういう首相である。アメリカによって周到に準備された首相である。不正選挙という手口まで使って。

敗戦国日本とドイツは1985年のプラザ合意以降、まったく違った道を歩んでいる。
日本はズルズルべったりとアメリカの意向に付き従っているだけだが、
ドイツは、没落するイギリスに代わってヨーロッパの主導権を握り、ヨーロッパをまとめ、ドルに対抗しうるユーロの発行までこぎ着けた。
今のギリシャ危機はその延長線上にあるアメリカとドイツの戦いである。

借金漬けの軍事大国アメリカに、軍事協力することがどんなに危険なことか、
アベシンゾーの判断力はチプラス以下ではないか。

2015年7月16日木曜日

美輪明宏が「安倍首相も自民党に投票した人もまず自分が戦地に行きなさい」と一喝!(リテラ)

美輪明宏が「安倍首相も自民党に投票した人もまず自分が戦地に行きなさい」と一喝!
http://lite-ra.com/2015/07/post-1280.html
2015.07.14. リテラ

 昨日、本サイトで、スタジオジブリの宮崎駿監督が、外国特派員協会主催の記者会見で、安倍政権を痛烈に批判したことをお伝えした。同じく高畑勲監督もまた安保法制と改憲への動きに強い懸念を表明しているスタジオジブリだが、そんなジブリが無料で配布している小冊子「熱風」の8月号で、ある人物が舌鋒鋭く安倍首相をこき下ろしていることは、まだあまり知られていないだろう。
 その人物とは、ジブリ作品にも声優として参加している、あの、美輪明宏だ。「熱風」で始まったジャーナリスト・青木理氏によるインタビュー連載で、第一回のゲストとして登場。「戦後70年」をキーワードにするこの対談のなかで、美輪は安倍首相らにこんな提言をしている。
「(人間は)失敗を繰り返してばかりいる。安倍さんや、石破(茂)さんや、麻生(太郎)さんにしても、みなさん、言い出しっぺの責任を取っていただいて、徴兵制になるならば、まずご自分が、年齢に関係なく、鉄砲を担いで、鉄兜をかぶって、まず第一線に出ていただく。それから、お子さんも、孫も、きょうだいも、それから娘さんのボーイフレンドも、全部一緒に連れ立って第一線に、まず最初に出ていただく。もちろん一兵卒でね」
 それほど戦争がしたいのならば、首相自ら親族も含めてお手本を見せてもらいましょう──記事を通読すれば、これは冗談でも皮肉でもなく、美輪の本気だということがわかる。ある年代より下の人たちからしてみると、あの紅花色の髪色と『オーラの泉』などでの“スピリチュアル”イメージが強いだろうが、今年80歳になった美輪は、長崎で原爆にも被爆している戦争体験者である。青木氏との対談のなかでは、むしろ冷徹なまでの口調で安倍政権の本質をえぐり、安保法制について、自身の戦争体験談を交えながら分析する。
「私は笑ってますね。学習能力がないということでしょう。第二次大戦と同じ。歴史に学んでいないんです。
 日本は、実は戦争ができない国、不可能な国です。大正10(1921)年に暗殺された原敬が言っていたように、日本には何の資源もない。石油も鉄もニッケルも、何も採れない。食料自給率もいまや40%を切って、ほとんど輸入に頼っている」
「とにかく知力が足りないんです。あるのはやまいだれの方の『痴力』。それと情念。それだけ」
 美輪は、太平洋戦争は“横綱に赤ん坊が戦いを挑んだようなもの”として、日本が「知力が足りない」為政者によって、いかに無謀な戦争へと突き進んでいったか強調した上で、安倍首相が「またそれと同じようなことをやろうとしている」と言うのだ。そして、“現在の日本は世界最強のアメリカの手先になろうとしている”と指摘する青木氏に対し、こう返す。
「そんなに甘く考えたら大間違いですよ。だって、アメリカ国債を世界で一番持っているのは日本だったけれど、それが追い抜かれちゃって、中国が世界一になった。最近、中国がちょっと景気減速して日本がまた抜き返したけれど、それでも中国はアメリカ国債を大量に保有しています。アメリカ経済をガタガタにしようと思ったらできる。なのになんでアメリカが日本だけの味方をしてくれます? 甘いですよ」
 さらに、安倍首相が安保法制で法制化させようとする自衛隊による後方支援については、「要するに兵站でしょう」「その兵站を叩くのは戦争の常識です。そこらへんのシビアさというのは、戦時中の人間でないとわかりません。戦争ってそれぐらい卑劣なものですから」と断じて、さらにこう畳み掛けるのだ。
「もうひとつ、日本は(戦争を不可能にする)抑止力を自分たちで作っちゃったんです。原発です。日本の沿岸をなぞるように50数カ所も原発を作っちゃった。今は特攻隊の時代じゃない。ミサイルや無人爆撃機の時代です。原発を狙われたら一巻の終わり」
 美輪は、安倍首相が防衛力増強の重要性を語りながら、その一方で国防上の弱点である原発という“爆弾”を維持し続けているという矛盾を鋭く指摘。そして手厳しい批判を、安倍政権だけでなく、選挙で与党に票を投じた人々にも投げかけるのだ。冒頭に引用した“安倍首相とその家族自らが先に戦地へ行け”という発言は、こう続く。
「それから、それに賛成している選挙民の人たちも、ご自分が支持して選んだんだから、選挙民もまず一家を挙げて、どうぞ出征してくださいって。男の方たちは、ご自分が殺し、殺されにいきたいんでしょ。どうぞ、いらしてください。それだけですよ」
 そこで青木氏が、こうした国民に対して伝えたいことはなにか?と訊いても、「別にないですね。そのときにならなければ人間というのはわからないんです」と冷たく言い放つのだ。
 美輪がここまで国民の責を問うのにはわけがある。たしかに安倍自民党は、先の衆院選でアベノミクスによる経済成長を掲げて議席を守った。しかし美輪は、安倍政権の真の狙いが安保法制であることを早くから見抜き、メディアを使って発信してきた。たとえば衆院選の直前、スポーツニッポンのインタビューではこう語っている。
「国民は経済問題ばかりに目を奪われてはいけません。実はその裏に日本の将来を揺るがしかねない重要な争点が隠されているのです。それは、『集団的自衛権』行使の問題です。(略)きっと首相は、国会で自分の都合よく安保関連法案を通すためには、この時期に選挙をしておくのが最も良いタイミングと判断したのでしょう。(略)ここで再び衆議院で安定多数の議席を確保しておけば、「国民からの信任を得た」と、任期の向こう4年間、首相はやりたい放題好き勝手に、きな臭い「積極的平和主義」とやらを進められると踏んだに違いありません。(略)
 いつの時代も犠牲を強いられるのは、弱い立場の人間なのです。こういう世の中で果たしていいのでしょうか。そういう流れを止めるのも、有権者みなさんの大切な1票に他なりません。よくお考えになり、投票所に足をお運び下さい。日本の未来を良くするも悪くするもあなたの責任なのですから」(「スポニチアネックス」14年12月12日)
 少なくともあのとき、国民は安倍政権の本質を見抜いていなければならなかったのだ。いち早く安倍政権が目指す「戦争のできる国」に抗ってきた美輪明宏だからこそ、忸怩たる思いで「殺し、殺されに行け」と強い言葉を投げかけるのだろう。
 美輪が言うように、「そのとき」になるまで、われわれは過ちに気がつけないのか。現在の安倍政権は、誰がどう見ても、完全に“暴走状態”に突入している。そんななか、われわれにできることはなにか。ひとつは、国民の声で安倍政権の支持率をさらに下げ、解散に追い込み、次なる選挙で自民党にだけは投票しないようにすることだが──。
(小杉みすず)

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2015年7月6日月曜日

あの加工食品が、あなたの健康を蝕んでいる 法律で一部の加工食品を規制するべき(週刊東洋経済)

        2012年7月、ニューヨーク市が実施しようとした巨大飲料規制に反対する人々(写真:ロイター/アフロ)

あの加工食品が、あなたの健康を蝕んでいる 法律で一部の加工食品を規制するべき
http://toyokeizai.net/articles/-/75053
2015年07月04日 ケネス・ロゴフ :ハーバード大学教授 東洋経済

政府は飲酒や喫煙、ギャンブルのような常習的行為に規制や税をどの程度課すべきか。多くの国々での論点だが、世界の消費文化の生みの親である米国では現在、この論争は子供の肥満という流行病との闘いに向けられている。
子供の肥満は先進国が直面する公衆衛生上の主要な問題の一つであり、新興国にも急速に影響が及んでいる。しかも解決するには、広範なワクチン接種、飲料水へのフッ素添加、自動車の安全規則など、20世紀の公衆衛生上の政策成功例よりもっと困難な課題が控えている。
■米国で行われる「教育キャンペーン」
肥満で世界のトップを走る米国は、肥満論争でも最先端を走る。ミシェル・オバマ米大統領夫人の「レッツムーブ」教育キャンペーンは1世代で子供の肥満をなくそうとしている(成果はまだ明らかでない)。ほかにも、シェフのジェイミー・オリバーなどの有名人による訴えに加えて、「セサミストリート」に触発された「キッキングニュートリション(すばらしい栄養)」(情報の全面開示で、考案者は私の妻)など、仲間同士の学びを基礎とする学習を利用する試みもある。
ただし、過剰な消費を引き起こす潤沢な資金と強い動機を持つ食品大企業が支配する環境で、教育だけで十分かは未知数だ。
子供を標的とするコマーシャル付きのテレビ番組は、健康にとっての価値が疑わしい加工食品の広告で満ちている。
肥満の原因は科学的に未知の部分が多いが、これを流行病と呼ぶのは誇張ではない。米疾病対策センターによると、米国の6~11歳の子供は約18%が肥満だ。
最大のリスクは、子供の肥満が大人の肥満につながることで、糖尿病と心臓病のリスクも増える。専門家の推定では、先進国の大人全体の18%以上が肥満だ。もっと驚くべきことは、米国民全体の約9%、そして世界の大人のやはり9%前後が糖尿病であるという推計だ。
■「大型ボトルの砂糖入り飲料」は規制すべき
政治家たちは危険を覚悟のうえで大手食品会社に反撃する。ブルームバーグ・ニューヨーク前市長が大型ボトルの砂糖入り飲料を禁止しようとした際には、医学の専門家が支持したにもかかわらず、裁判所だけでなく世論まで禁止に反対した。
しかし、禁煙、シートベルト法、自動車の速度制限など、過去50年の公衆衛生上の取り組みの成功例を考えると、多くの場合、法規制が教育を補ってきたとわかる。
そこまで踏み込まずに食品の選択に影響を与える方法は、砂糖入り飲料だけでなく、すべての加工食品に小売税を課すことで結果的に、非加工食品に補助金を出すことかもしれない。長期的には(最も肥満に苦しむ)低収入の家庭が最も恩恵を受けるだろう。少なくとも短期的には非加工食品への資金移転効果があるはずだ。医学研究者のデイビッド・ラドウィッグやダリウシュ・モザファリアンとともに、私はこうしたアプローチの概要を提案した。
加工食品の一部は、人体にとっての悪影響が明らかにほかのものよりずっと大きい。もっと細かく分類することも可能であり、反対意見を含め多様な考え方をぶつけ合うべきだろう。
それでも、われわれのやり方には、単純さという実践面での優位性がある。米国の消費文化は食品業界に支配されており、人々の食べる喜びが多くの場合、常習性と健康破壊に転換されてしまう。
踏み出す第一歩として、教育とコマーシャルの虚偽情報のバランスを改善することだ。ただ、食品にはあまりに常習性があり、食品環境は不健康な結果に向けて歪曲させられているので、より広範な政府介入について検討する時が来ている。教育に関する国家支出を大きく増やすことが含まれているが、長期の解決には、より直接的な規制が必要だろう。方策の検討開始に時期尚早ということはない。
(週刊東洋経済2015年7月4日号)