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2014年4月29日火曜日

田中宇の記事

(転載貼り付け始め)

田中宇の国際ニュース解説  無料版  2014年3月9日 http://tanakanews.com/

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危うい米国のウクライナ地政学火遊び http://tanakanews.com/140305ukraine.php

「 プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動 」

この記事は「危うい米国のウクライナ地政学火遊び」(田中宇プラス)の続きです。
http://tanakanews.com/140305ukraine.php

 EUの上層部で、ウクライナ新政権に対する懐疑の念が強まっている。
2月22日の政権転覆によってできたウクライナ新政権は、前回の記事に書いたように、
ネオナチ・極右の指導者が安保、軍事、警察、教育などの政策決定権を握っている。


 政権転覆の直前、極右を含む反露の反政府勢力が、親露的なヤヌコビッチ政権を倒そうと、首都キエフ中心街の広場などに集まって反政府集会を続けていた時、何者かがビルの上から集会参加者や警察官を狙撃して、多数の死者が出た。
この時、反政府勢力は、ヤヌコビッチ配下の兵士が狙撃犯だと非難する一方、ヤヌコビッチ政権は、反政府勢力の者が狙撃犯だと反撃した。


 米欧マスコミの中には、ヤヌコビッチ政権による弾圧を大々的に報じ、狙撃もその一環であるかのような印象が醸し出された。
しかし政権転覆後の今になって、狙撃が反政府勢力、つまり新政権の自作自演だった可能性が高まっている。


http://edition.cnn.com/2014/03/05/world/europe/ukraine-leaked-audio-recording/
Leaked call raises questions about who was behind sniper attacks in Ukraine

 政権転覆直後、EU加盟国であるエストニアのパエト外相がキエフを緊急訪問し、知ったことや印象について2月26日にEUのアシュトン外相と電話会談した。
その電話を録音した内容が最近、インターネットのユーチューブに漏洩した。


この中でパエト外相は、問題の狙撃について、政権転覆前に反政府勢力(つまり新政権)が負傷者や急病人のために中心街の広場に作った野戦病院(テント)の主任医師から聞いた話として、
状況証拠から見て、ヤヌコビッチ前政権でなく、新政権が狙撃犯を雇っていた可能性が高いと話している。
電話の相方であるEUのアシュトンは、初耳だと答えた。


http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZEgJ0oo3OA8
Full leaked recording

 パエトは、新政権が狙撃事件の真相について捜査したがっていないとも指摘した。
新政権を率いる極右指導者は過去に暗い過去があるので多くのウクライナ人が彼らを信用していない、とも語っている。


 エストニア外務省は、漏洩した録音が本物であることを認めつつ、
パエトはキエフで聞いてきたことをアシュトンに報告しただけでウクライナ新政権を批判するつもりはない、
と苦しい釈明をした。


実際には、アシュトンがパエトにキエフ訪問の印象を尋ね、その答えとしてパエトが新政権に関する悪評を並べており、
漏洩後の釈明と裏腹に、パエト自身が新政権に対して悪い印象を持っていることが明白だ。


http://www.zerohedge.com/news/2014-03-05/behind-kiev-snipers-it-was-somebody-new-coaltion-stunning-new-leak-reveals-truth
"Behind The Kiev Snipers It Was Somebody From The New Coalition" - A Stunning New Leak Released

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2573923/Estonian-Foreign-Ministry-confirms-authenticity-leaked-phone-call-discussing-Kiev-snipers-shot-protesters-possibly-hired-Ukraines-new-leaders.html
Estonian Foreign Ministry confirms authenticity of leaked phone call discussing how Kiev snipers who shot protesters were possibly hired by Ukraine's new leaders

 エストニアはウクライナと同様、ロシアの隣にある小国で、1940年から91年までソ連に併合され、厳しく支配された。
ソ連崩壊でようやく独立し、EUに入ったエストニアの人々(国民の3割を占めるロシア系以外)の多くは、ロシアの覇権や威圧が大嫌いだ。


 それを考えると、ウクライナ新政権が反露的であるにもかかわらず、エストニアの外相が新政権に悪い印象を語っているのは、深い意味を持つ。
パエト外相は、親露・反露という尺度を超えて、ウクライナ新政権がロシアと敵対するために混乱や暴力を扇動して、自国周辺の東欧ロシアの広域が不安定化することの方を懸念しているのだろう。


http://news.antiwar.com/2014/03/05/ukraine-protest-leaders-hired-kiev-snipers/
Ukraine Protest Leaders Hired Kiev Snipers

 前回の記事に書いたとおり、
2月初めには、米政府がウクライナの政権転覆を支援し、新政権の首脳人事に介入していることが
米国の国務次官補と、駐ウクライナ大使との電話会談のユーチューブへの漏洩で暴露されている。


そして今回、米国が作ったウクライナ新政権の極右性や過激さをEUが懸念していることも、ユーチューブによって暴露した。
米国製のシステムであるユーチューブによって、米国の覇権が揺るがされている点が興味深い。


http://www.youtube.com/watch?annotation_id=annotation_2612647377
Victoria Nuland phoning with Geoffrey Pyatt

 ウクライナ新政権が、狙撃者を雇って自分たちの仲間を自作自演的に狙撃させ、
それをヤヌコビッチ政権のせいにして政権転覆を成功させようとしていたとなれば、新政権の国際信用は急落する。


 ウクライナ新政権は「テロリスト」ですらある。
ウクライナを政権転覆した極右勢力の指導者であるドミトリイ・ヤロシ(Dmitryo Yarosh)は最近、何度もロシアで爆弾テロを行ってきたチェチェン人のテロリスト(Doku Umarov)を支援し、どんどんロシアでテロをやってもらおうと、極右のネットメディアのサイトに書いて提案している。
ヤロシはその後、5月の大統領選挙への立候補を表明した。


http://news.antiwar.com/2014/03/02/report-ukraines-right-sector-leader-urges-terror-attacks-on-russia/
Report: Ukraine's Right Sector Leader Urges Terror Attacks on Russia

http://www.ibtimes.co.uk/ukraines-neo-fascist-right-sector-leader-dmytro-yarosh-run-president-1439324
Ukraine's Neo-Fascist Right Sector Leader Dmytro Yarosh to Run for President

 米国のネオコンは、以前からウクライナの反露極右だけでなく、チェチェンの反露テロリストを支援し、チェチェン人の対露テロはテロでなくロシアの支配に対する抵抗運動だ、と正当化してきた。

その点で、ネオコンに支持されたウクライナの極右がチェチェン人の反露テロを支持するのは当然といえるが、
この支持表明はロシア政府に「ウクライナ新政権はテロリストだ」と非難する正当性を与えてしまい、国際政治的にウクライナ新政権自身を不利にしている。
露政府は、発言者のヤロシを、テロを公然と支持するテロリストとして逮捕
すべく、国際指名手配した。

http://rt.com/news/yarosh-interpol-wanted-terrorism-954/
Russia puts Ukraine far-right leader on international wanted list over calls for terrorism

(転載貼り付け終わり)


副島隆彦です。 
ああ、ここまで読んで、疲れた。 
田中宇(たなかさかい)氏だから、宇宙の宇(う)で、宇(ウ)ータンともネット世界では呼ばれているのだが、彼が、書いて報告してくれることは、大量だから、英文記事まですべて読もうとすると本当に大変だ。
世界中に流れているこれらの新聞記事は、しっかりした根拠があり、出典が明示してある。


もう、いくらなんでも私も疲れました。これぐらいにしましょう。
ウクライナ人も大変だね―。 


副島隆彦拝

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