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2014年4月30日水曜日

2014年4月28日月曜日 多国籍企業による「日本人の奴隷化」が着々と進行している

遅れた話:

2000年に入って企業が正社員で人を雇わなくなったという現象が起きた。これによって、多くの日本人が非正規労働というスタイルで雇われるようになった。

日本の正社員は、終身雇用が当たり前だった。しかし、グローバル社会の中で、激しい競争に巻き込まれた企業は、今までのように高賃金の労働者を雇う余裕がなくなった。

世界中の企業が、競争に勝つために「高賃金の人間を切り捨て、低賃金の人間を雇う」という動きをするようになった。

これはそっくりそのまま先進国の労働者を切り捨て、途上国の労働者を雇うという動きだったのだ。

先進国の労働者を抱えていたらその高賃金を商品に転嫁しなければならないが、もうそんな余裕がなくなったので、正社員を終身雇用で雇うというスタイルは破綻した。

だから、日本の企業も2000年に入ってから怒濤のごとく非正規労働に切り替わっていったのである。そして、実はこの動きを多国籍企業も日本に入り込むために首を長くして待っていた。

会社にとって社員はコストにしか過ぎない


日本の労働者は質が良く、粒が揃っており、勤務態度は優秀で、しかも技術もある。海外の企業から見れば、日本の労働者を安く使い捨てにできるのであれば、これほど素晴らしいことはない。

しかし、日本という国は労働者の権利が非常に守られた「企業にとってはやりにくい特殊な国」だった。

日本人の多くは「会社は社員のもの」という意識を持つくらい会社に依存している。

本来、会社にとって社員はコストにしか過ぎないので、企業は明確に「株主のもの」である。これは資本主義の中では覆すことができない常識だが、こと日本に関しては会社は社員のものという不思議な感覚が蔓延している。

それは会社が社員のことを一生懸命に考えていたからでもある。福利厚生も労働者の権利も至れり尽くせりで、労働者は「守られていた」のである。

だから、社員は会社と一体化することができて、一種の運命共同体になっていった。

しかし、グローバル化した多国籍企業は、売上が低迷したり、事業形態が変わったとき、すぐにリストラできる環境が必要であり、一生に渡って会社に依存するような人間はむしろ邪魔になるだけなのである。

「必要な人材はすぐ雇える」
「要らない人間はすぐに捨てられる」

多国籍企業にとっては「利益を極大化する」ことが使命であり、労働者の生活や人生など何の関係もない。ところが、日本では労働者が手厚く守られて、労働者を使い捨てにする環境になっていない。

だから、多国籍企業はTPPによって日本の労働環境を「開放」しようとしているのである。

オバマ大統領も単なる操り人間にすぎない


オバマ大統領がTPPを無理やりねじ込んできているのは、オバマ大統領も多国籍企業の支持がないと大統領の座を守れないからである。大統領と言えども、選挙に勝つためにはアメリカの国益を拡大化させなければならない。

しかし、ここで勘違いしてはならないことがある。

アメリカの国益を拡大させるというのは、アメリカ人の権利を利するという意味ではない。アメリカの多国籍企業の利益を利するという意味だ。

アメリカ大統領は、常にアメリカの多国籍企業から多額の献金を受けており、その政策はNFTC(全国貿易協議会)によって大きな圧力を受けている。

だから、オバマ大統領はアメリカの多国籍企業の代理人であり、多国籍企業によって操られている人形みたいな存在であるということだ。オバマ大統領だけではない。すでにアメリカの政治家の99%は多国籍企業の代理人だ。

だから、TPPはアメリカの多国籍企業が儲かるために、自分たちに邪魔な日本の規制を撤廃させるためのものであるという見方をするのが正しい。

今、日本に起きている労働者を巡るすべての動きは、日本人労働者の今まで享受してきた権利をどんどん剥奪していくものであるということは、もっと強く認識されてもいい。

たとえば、ざっと考えただけでも、昨今の日本では以下の3つの動きが加速している。

(1)国家戦略特区
(2)労働法の改正
(3)法人税の減税

この3つは、バラバラに起きているこのように見えるかもしれないが、日本人を使い捨てにするための方策であるという方向性では完全に一致しているものだ。

一見、美しい言葉の裏にあるものが恐ろしい


国家戦略特区では何が検討されているのか。政府は以下の目的があると説明している。

(1)経済社会の構造改革を重点的に推進する。
(2)産業の国際競争力を強化する。
(3)国際的な経済活動の拠点の形成を促進する。

一見すると、美しい言葉が並んでいる。何が悪いのかよく分からないというのであれば、上記の3つの本当の意味を分かりやすく説明しよう。上記の3点は労働者側から見ると、このような意味なのだ。

(1)日本独自の終身雇用など完全にやめさせる。
(2)国際的競争力のため、解雇しやすい環境にする。
(3)多国籍企業がどんどん入り込めるようにする。

「国家戦略特区は、解雇特区ではないか」と激しい批判が出ているが、もちろんその通りである。また、この経済特区では以下のような美しい言葉もある。

「シルバー労働者に働き口の機会を与える」

しかし、高齢者は若い労働者と同じように働く体力も能力も失われているので、企業には以下を認めるというのである。

「最低賃金以下で働かせてもよい」

一見、美しい言葉で労働者の権利を守るような話をしているのだが、それは建前であって、本音の部分を見ると、まさに労働者の切り捨て、最低賃金の撤廃等、多国籍企業に都合がよい話が並んでいることが分かるはずだ。

いずれにしても企業に都合が良い政策ばかりだ


2013年には労働法の改正も行われた。

その中で目玉になったのは「5年ルール」だ。これはどういうものなのか。

簡単に言うと、「非正規労働等で5年間働いた者は、本人の届け出があれば、正社員にしろ」というものであった。

これも、一見すると、美しい言葉である。労働者の権利を守るような動きに見える。ところが、この5年ルールも、現場では激しく批判されている。何が悪いのか分からないというのであれば、これも分かりやすく説明しよう。

(1)企業は5年で労働者を放り出す名目ができた。
(2)本人が申し出たら、それを理由にクビにできる。

非正規労働者に「5年働けば正社員になれるかも」と5年間、その立場の悪い状況に縛り付けることができる。

しかし、5年目に入っても「本人の届け出」がなければ、そのまま非正規労働のまま継続させられる。万一「本人の届け出」があれば、「正社員にできないので辞めてくれ」と言えるようになる。

いずれにしても企業に都合が良いものである。

さらに国家は法人税の引き下げも動いている。法人税を引き下げることによって、企業の利益を拡大させて、それによって雇用を増やすことにつながるというのが政府の言い分である。

しかし、2014年4月からは消費税を8%に上げて労働者から金を搾り取っている中で、企業には法人税を引き下げるのだから、まさに企業優先の政策が行われていると言っても過言ではない。

そうするという決意の中で、2014年3月12日から、政府税制調査会が動いている。

これが今、日本の中で起きている動きなのである。日本人の8割はサラリーマンである。こういった動きは、ほぼすべての日本人を直撃すると言ってもいい。

多国籍企業による「日本人の奴隷化」は、今も着々と進行している。

私たちは「一見、美しい言葉」に騙されながら、着々と奴隷化される未来に向かって突き進んでいる。

働いても豊かになれない奴隷化時代に向かって突き進んでいる日本人

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