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2014年3月29日土曜日

乳酸菌はなぜ腸にいいのか? 遺伝子レベルの研究で明らかに!

なんとなく体にもよさそう、お腹の調子を整えてくれる感じがする…… そんなヘルシーなイメージを持つ乳酸菌を、手軽に摂ることのできる食品がヨーグルトだ。その整腸作用のメカニズムを遺伝子レベルで解明しようと、乳酸菌の研究が世界的に進んでいる。
 食品メーカーの明治とフランスのパスツール研究所は、2011年から乳酸菌の共同研究を行っている。この研究から、代表的な乳酸菌のひとつであるLB81乳酸菌が、健康を保つカギとなる「腸管バリア機能」の低下を防ぐのに役立っていることがわかってきたという。「腸管バリア機能」とは、食べ物などと一緒に腸に入り込んでくる細菌やウイルス、腸内の悪玉菌がつくる有害物質などから体を守ってくれる、腸のガード機能のことだ。この「腸管バリア機能」は加齢や不規則な生活、過度のストレスなどの影響で低下しやすく、その結果、腸から侵入した病原菌やウイルス、有害物質が全身に行きわたり、身体の不調や病気の原因となることもわかってきている。
 2014年3月20日、「LB81乳酸菌の新たな可能性 腸の健康を保つ鍵、『腸管バリア機能』低下を防ぐ」と題したセミナーが都内で開かれた。セミナーではLB81乳酸菌の新たにわかった機能などが発表された。
 パスツール研究所「リンパ組織発達」研究ユニットの主任研究員であるジェラール・エベール博士は、テレビ会議システムを通じてフランスから講演した。同氏によると、ヒトはそもそも細胞と微生物の集合体とも言え、腸内細菌叢(そう)のバランスが健康を保つポイントになるという。ところが腸内細菌叢は加齢とともにバランスを崩し、腸の免疫システムが損なわれるおそれもある。そこで、老齢のマウスにLB81乳酸菌を使用したヨーグルトを与えたところ、若いマウスの腸内細菌叢のバランスに近づくことがわかった。また、大腸炎を起こさせたマウスにLB81乳酸菌を摂取させたところ、腸の炎症が抑えられたとの報告もあり、これらの結果から、LB81乳酸菌を使用したヨーグルトを食べることで、腸の老化を改善したり、加齢に伴う腸の疾患を抑制したりできると考えられるという。
 明治の研究本部食機能科学研究所乳酸菌研究部長の浅見幸夫氏は、LB81乳酸菌には腸管内の抗菌ペプチドの遺伝子発現を上昇させる働きがあるとし、腸管バリア機能の向上のみならず、腸内細菌叢のバランスを保つのに役立つと指摘した。
 順天堂大学 医学部病院総合診療科研究室・病院管理学研究室の小林弘幸教授は、身近な視点から腸の老化と全身の老化、そして老化しにくい生活習慣や食習慣について解説。便秘を解消する食品としてヨーグルトに期待できるとし、食物繊維などを併せて摂ることで食習慣を改善するほか、ストレスの発散や適度な運動を継続することが望ましいと話した。
 漠然と「体によさそう」と思われていた乳酸菌。その研究は、新たなステージを迎えたようだ。

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