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2015年3月30日月曜日

日本の右傾化はアメリカの国益に沿うものです。

転載:

戦後生まれの日本人は子供の頃から、マスメディアが垂れ流すアメリカ文化によって右翼的な価値観を刷り込まれる洗脳を受けています。
反米的なリベラルな政治家は、資本家に寡占されたマスメディアのバッシングを受けて失脚します。左派政党は弱体化されて、自民党や民主党内の左派も駆逐されていきます。
アメリカは、日本と中国&朝鮮が対立すれば、オスプレイなどの多額の開発費がかかった失敗兵器をぼったくり価格で売りつけることができます。オスプレイは輸送機としてみると性能が低いですし、兵員輸送のヘリとしても遅すぎて、対空ミサイルのいい的です。まさに、「帯に短したすきに長し」です。無理に両方の特徴を一個の機体に盛り込むよりも、別々に輸送機とヘリをくみあわせて運用するのが合理的です。発想が、旧日本軍っぽくてプラグマティズムを信条としていた米軍らしからぬトンデモ兵器です。
また、ほとんどあたらないパトリオットやイージス艦などのミサイルミサイル防衛兵器を、北朝鮮のミサイルの脅威を煽って売りつけることができます。
もちろん、日本の周辺諸国との緊張を煽れば、米軍を日本に駐留させる口実になります。そうすれば、日本の実質的な占領を継続できます。
アメリカにとって潜在敵国はロシアや中国だけではありません。今でも、高い技術力と工業力をもつドイツや日本は安全保障上の脅威です。そのためアメリカはメルケルの携帯の盗聴を続けていました。もちろん、ユーロはドルにとって目の上のたんこぶで、あらゆる手段をつかって潰したいものです。
太平洋戦争のときの日本の工業力はアメリカの10分の1程度から20分の1程度で勝負になりませんでした。武器などの技術力の差はもっとあったでしょう。
日本の兵器は戦闘機や軍艦だけでなく、ありとあらゆる装備で劣悪でした。軍用機の性能は、FIと異なり、ほぼエンジンで決まりますが、日本の溶接技術ではまともなエンジンがつくれませんでした。空気の薄い高高度で酸素を供給する過給器の技術もありませんでした。まともなエンジンがつくれないために、軽量化が要求されて満足な機体がつくれませんでした。イギリスの戦闘機やドイツの戦闘機の機体設計が堅固で、マイナーチェンジで戦争の最後まで通用したのとは対照的です。
貧弱な機体に火力、航続距離、スピードを求めたために、弾数、防御力、ロール性能、急降下性能が犠牲になり、空戦では全く勝負になりませんでした。特に急降下性能が低いのは致命的でした。後ろをとられても急降下すれば逃げることができるので、あとは高度をとって一撃離脱を繰り返すだけで、ワンサイドゲームが可能でした。
軍艦はダメージコントールがおそまつで、数発の魚雷や爆弾で簡単に沈む有り様でした。電探がチープなため、人力頼みの大砲や対空火器の命中精度は低く、肝心の対潜能力などは軽視されていました。
工業力も技術もあったドイツと違い、日本は始めから勝てる可能性はゼロでした。ところが今現在では、技術や工業力に当時ほどの歴然とした差はありません。

アメリカは日本に国内で販売する数倍の価格で武器を売りつけていますが、その武器も型落ちして性能を落としたモンキーモデルです。日本が潜在的敵国である以上、ラプター-などの最新の兵器は絶対に提供しません。議会が承認しません。

アメリカは、日本がロシアに接近することは許しません。日本がロシアから原油やガスを安い価格で購入するのはアメリカの国益を損ねるからです。
今現在、日本のエネルギーは10分の1程度をロシアから輸入していますが、パイプラインを敷設してこの割合を増加させれば(パイプラインは安価なエネルギー供給を受けられる)、日本の中東への依存度が下がります。そうなると、米国が、イニシャティブを握る中東情勢(軍隊)や先物市場(投資銀行)によるエネルギー価格コントロール圏の外に日本が置かれることになります。それは、米国の日本に対する影響力が低下することを意味します。中東から日本のシーレーンを守ってやっているというのも、米国が日本にたかるみかじめ料の根拠のひとつです。

また、アメリカは、中国と日本の友好が進み、日本の輸出先が米国市場から中国の巨大市場にシフトするのも困ります。あくまで、日本経済は米国経済に依存している状態にしておきたいのです。
そして、中国と日本の関係が悪化して、日本の企業が中国市場でシェアを失っている隙に、米国企業の中国でのシェアを拡大させることがアメリカの国益になります。

日本が、外貨準備で金を増加させることが事実上できないのは、アメリカの圧力という陰謀論があります。
ニクソンショックのデフォルト後、ドルの担保は金ではなく、米国債(米国民に対する課税権)にかわっています。その米国債を買っているのが日本です。
円の担保は、円債とドル(米国債)です。日本とアメリカは一蓮托生状態に置かれています。
ドルが崩壊すれば円も道連れになります。それで、日本は終わりというわけではないですが、大きなダメージは避けられません。戦後、エコノミックアニマルと馬鹿にされながら、汗水流して蓄積してきた、国富のストックの多くが失われます。

人間というのは、利益を得ることよりも現状からの損失に過敏に反応するようにできています。文明化以前の狩猟採集の時代、利益を求めて冒険する傾向の強い遺伝子をもった人よりも、自分の利益に対する脅威に直感的に過敏な、保守的遺伝子をもった人間が、生き延びる可能性が高かったのです。
もっとも、そのような保守的な直感的感情的反応は、高度に社会化して複雑化した現代においては、必ずしも合理的な選択ができるメカニズムではありません。遺伝子による生物学的な進化は遅いものですが、言葉を使える人間のミーム(情報)による文明社会の進化のスピードは劇的なものがあります。その進化にとって保守的で利己的な遺伝子は時に障害になります。
恐怖に過敏な原始的な脳の扁桃体の感情反応は、理性(前頭葉)である程度コントロールすることができます。
扁桃体が優位なのがいわゆる右翼(保守)で、理性が優位なのがリベラル(革新)です。
右翼は、自分の既得権益を損なおうとする敵を察知すると、扁桃体の反応で、過剰な防衛姿勢をとります。自分の考えと違う意見には非常に感情な反応を示します。
右翼は、自分(および自分の利益にかかわる血縁や地縁、民族、宗派)の利益を保守しようとする傾向が強いので、利他的な富の再配分には反対です。
そのため、格差是正のために累進課税を主張するピケティのブームに、リベラルよりもむしろ右翼が過剰に反応をしていました。
右翼は、リベラルよりも権威に弱い性向があります。
ピケティが権威化したことで、その主張内容と自分の価値観の齟齬をきたした右翼は認知的不協和に陥りました。それを、解消するために、ピケティのあらを必死になって探していたようです。
一般の国民は、隣国とはいえ、小国の韓国などには、スポーツや芸能関係以外は、あまり関心がないものですが、右翼は韓国を無意識に自らの権利を害する脅威と感じているために過剰な感情反応をしています。そして、その脅威を払拭しようとして韓国の弱点をあら捜します。そのため、異常に韓国について詳しかったりします。

今回のAIIBの問題も、右翼はやはり過剰反応をしています。
それが脅威ではないことを示すために、AIIBは問題だらけでたいしたことがない、しょせん「すっぱい葡萄」だ、いまさら参加しても中国のいいように利用されるだけだと決めつけることで、認知的不協和を解消しようとしています。
もっとも、右翼のいうように、AIIBが問題だらけで参加するメリットがないのなら、ここまで多くの国(世界の主要国のほとんど)が参加するわけがありません。スタートアップですから、もちろん問題点は多いでしょう。中国の国益のためにつくられたのも事実でしょう。米国ににらまれることにもなります。それでもそのコストを差し引いても将来的、潜在的なリターンが期待できるから、とりあえず乗り遅れずに参加をしておこうとしているのだと思います。
新興国や発展途上国、人口増加や都市化により、今後、数年で、何百兆ドルのインフラ投資需要があります。
先進国では、高齢化や都市化の完了によって経済が成熟して利潤を生むようなめぼしい投資先もなくなり、金利もマイナスになっている状態です。そのため、積極的に新興国に投資することは、新興国だけでなく先進国にとっても利益になります。
既存の日本主導のアジア開発銀行(ADB)は、アメリカや日本にとって都合がよく融資を受ける側に不利益なワシントンコンセンサスという厳しい融資条件がありますし、コーポレートガバナンスを偏重しすぎることで、決定まで時間がかかって機をみた迅速な融資ができません。
何より需要を満たすだけのサイズが全然ありません。スケールメリットがないのでAIIBよりも利子が高くなります。そのため、発展途上国や新興国のADBからAIIBへの乗り換えが加速することが予想されます。
カナダ紙『グローブ・アンド・メール』は、「米国は不快に思うかもしれないが、中国の多国籍銀行には我々が支持する価値がある。インドネシアの港湾、もしくはインドの2都市間を結ぶ道路を利用したことのある人ならば、何がアジアの当面の急務であるかを理解しているはずだ。それならば、なぜ中国のAIIBに大げさに驚く必要があるのだろうか?AIIBは資金を調達し、数十億人に利益をもたらす機関だ」と伝えています。

中国は既存の巨額のドルの外貨準備に加えて、これからも対米貿易黒字によるドルのキャッシュフローの流入が続きます。
そのドルをいままではほとんど米国債に交換していたのですが、これからは、AIIBをつかって積極的に発展途上国に投資していくことになるでしょう。国債のファイナンスの半分を海外に頼る米国は、将来的にはQE4なしには金利上昇を食い止められなくなると思われます。
中国は、購買力平価に基づく国内総生産(GDP)だけでなく、貿易規模ではすでにアメリカを抜いて世界トップです。決済通貨として、ドルよりも人民元の重要性が増しています。
AIIBによる中国版マーシャル・プランにより、人民元の国際化が今後さらに加速し、その結果、ドルの基軸通貨プレミアは劇的にうしなわれると思います。

アジアインフラ投資銀行、加盟国一覧
AIIB参加国一覧 オーストラリア/トルコ/韓国/ロシア/オランダ/ブラジル/グルジア/デンマークも参加

*出資比率だけでなく、加盟の時期も、理事会での発言権などの点で重要になってくると思います。

○参加表明国 

2014年10月24日参加表明
中国人民共和国、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、インド、カザフスタン、クウェート、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、オマーン、パキスタン、フィリピン、カタール、シンガポール、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナム

2014年11月25日参加表明
インドネシア

2014年11月28日参加表明
モルディブ
サウジアラビア
タジキスタン
ニュージーランド

2015年2月9日
ヨルダン

2015年3月12日
イギリス

2015年3月17日
ドイツ、フランス、イタリア

2015年3月18日
ルクセンブルク

2015年3月20日
スイス

2015年3月24日
オーストリア

2015年3月26日
トルコ
韓国

2015年3月28日
ロシア
オランダ
ブラジル
グルジア
デンマーク
台湾!

2015年3月29日
オーストラリア


参加濃厚 カナダ、イラン、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、南アフリカ

検討中 イスラエル、メキシコ、アルゼンチン

参加に消極的 日本、アメリカ


G7 
イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの4カ国が参加を表明、カナダが参加濃厚、日本とアメリカが不参加濃厚

BRICS 
ブラジル、ロシア、インド、中国が参加を表明。南アフリカも参加濃厚

ASEAN
タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、べトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10カ国全部が参加を表明。中国と国境問題をかかえるベトナム、フィリピン、歴史的に米国に近い立場にあったインドネシアも参加を表明。

OPEC
サウジアラビア、クウェート、カタールといった米国の同盟国である湾岸諸国とインドネシアが参加を表明。中国から巨額の融資を受けているベネズエラも参加濃厚

アングロサクソン諸国
イギリス、ニュージーランド、オーストラリアが参加を表明。カナダの参加が濃厚。米国は参加に消極的。

G20
中国、ロシア、ブラジル、インド、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、オーストラリアの13カ国が参加を表明。
カナダ、南アフリカの2カ国が参加濃厚、メキシコ、アルゼンチンの2カ国が検討中。日本とアメリカの2カ国が参加に消極的、EUは不明。

EU
英国、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、デンマーク、ルクセンブルク、オーストリア、アイルランドの主要11カ国が参加表明
スペイン、ギリシャ、ポルトガルの参加が濃厚
ベルギー、フィンランド、スウェーデンの中核国も参加を検討中
残りのクロアチア キプロス、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、マルタ、ポーランド、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、ブルガリア、チェコ、エストニアあたりの新興国&発展途上国が参加すれば、アジアインフラ投資銀行の名称変更も。

アジア以外にも中国は、東欧、アフリカ、中南米への投資を近年、急増させています。
将来的にはアジアインフラ投資銀行は、先発のBRICS開発銀行、IMFの代替とされるシルクロード基金などと一体化する可能性もあります。
今現在おこなわれている、「ボアオ・アジアフォーラム」が開催されています。
これはユダヤ資本家と西側諸国主導のダボス会議に対抗する中国主導の会議です。
このフォーラムで習近平は、「一帯一路」と呼ぶ、陸と海の2つのシルクロード経済圏を構築し、アジアと欧州をつないだユーラシア圏の経済発展を目指す構想を紹介しています。
習近平は、AIIBについては、設立準備は順調で、一帯一路構想には、既に60以上の国・国際組織が前向きな姿勢を示していると発言しています。

AIIBについては、3月31日の期限までに駆け込み加入がまだまだあると思います。
日本にとって最悪のシナリオはアメリカが抜け駆けで、参加を表明することです。
そうなれば、日本はハシゴを外されて孤立しています。
中国(蒋介石)に外交的に敗北して、国際連盟を脱退し、ABCD包囲網で世界中を敵にまわして、国際的に孤立していった苦い過去の歴史を繰り返すことになっています。
右翼は、軽々しく大上段に愛国、国益、売国奴と口にしますが、やっていることは、結局、個人の感情的な怒りや恐怖の解消です。それは、とどのつまり、日本の国益を損ねていることになっています。
中国に対する感情的な好き嫌いを脇において、客観的に中国の実力を認め、自国の力を過信せず、凋落が明白な米国と中国のどっちに接近するのが、安全保障や経済面で国益に沿うか考えるべきでしょう。
プライドとか感情論といったバイアスによる判断で国を滅ぼしてはいけません。
イギリスや韓国を打算的と揶揄するのは、戦前の軍国主義の精神論と同レベルで合理的ではありません。

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