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2015年7月19日日曜日

ギリシャがEUを離脱することを避けた。

そのことはEUのためにはよいことだ。

私はこのことをギリシャとEU(ドイツ)の問題としてみていない。
アメリカとEU(ドイツ)の問題としてみている。

ギリシャのチプラス首相が、EUに残ったということは、ギリシャがドルを取らずユーロを取ったということだ。

1971年のドル=ショック以来ドルの凋落は激しいが、それに対抗しうる通貨がなかった。そのドルに対抗しうる通貨として初めて登場したのがユーロである。
このユーロには金融政策と財政政策の分離という難しい問題があることは指摘されるとおりだが、それでも現在の国際金融の中で、ドルに対抗しうる通貨としてユーロしかないことも事実だ。

2008.9月のリーマン・ショックの1年半後、2010.2月に突如として起こったのがギリシャ危機である。
これには、アメリカによるユーロ潰しではないかという噂がもともとある。
このとき、オバマはすでにアメリカ大統領に就任しているが、この動きはオバマとは関係のないところで引き起こされている。

このころ日本は民主党政権下で、その直後から激しい小沢一郎(民主党幹事長)叩きが始まる。
そして3ヶ月後の2010.5月には、IMFが日本に対して消費税の引き上げを求めるという異例の声明を出した。

すると日本では、翌月の6月2日に鳩山首相と小沢幹事長がW辞任し、6日後には菅直人が首相に就任した。そして6月17日には、唐突に菅直人が消費税10%に言及した。
菅直人は9月14日に民主党代表選挙という不正選挙で小沢一郎に勝利した。するとその翌日の9月15日には、2兆円のドル買い介入を行った。日本のドル買い介入は米国債の購入をという形を取る。つまりアメリカの赤字財政を助けたのである。
さらに翌月の10月1日には、菅直人はこれも唐突にTPPへの参加検討を発表した。
これらは明らかに親米路線への方向転換である。

次の野田佳彦首相になっても、民主党はドル買い介入を続けた。
野田佳彦は、翌年の2011.10.31には、史上最大規模の8兆円のドル買い介入を行っている。
しかしこれら2人の首相は民主党が政権の座を引きずり降ろされると、今では見る影もない。国民の支持がなかったからである。
彼ら2人は完全にアメリカの傀儡であった。そして完全なアメリカの使い捨てだ。
このような政治家が日本にはまだいる。

実はその3ヶ月前、2011.8.2に、アメリカは米国債務上限引き上げ法を成立させ、さらなる追加の借金ができるようにして、デフォルトを免れている。
EUはすでにこのようなボロ米国債を買わないが、それを買ったのが日本である。それが、2011.10.31のドル買い介入である。それも史上最大の8兆円のドル買い介入である。我々日本人の血税はアメリカのファイナンスのために貢がれている。
リーマンショック後のアメリカの日本資産の略奪はなりふり構わない。

2年後、2013.8月には、アメリカの債務上限問題が再度表面化する。
2ヶ月後、2013.10.1日には、アメリカ下院で暫定予算が不成立になり、アメリカの政府機能が一部ストップするという異例の時代に陥った。
折しもこの日は、日本で消費税8%の導入が閣議決定された日であった。
アメリカは借金漬け、それをファイナンスするために日本は増税するという象徴的な日であった。
その月の2013.10.17日には、アメリカは再度の債務上限引き上げを可決し、デフォルトを回避した。
このようにアメリカは借金を続ける『死に体』国家になっている。国家として機能していない。
アメリカは今、財政再建策を提示できないまま、永遠に借金を続けていくしかない構造に陥っている。
そして日本はそういうアメリカを永遠にファイナンスしていくしかない罠にはまっている。これが日米構造改革の成果である。構造上の問題である。
異次元の金融緩和も、TPPへの参加もこの構造上の罠にはまっていくだけである。

アメリカは借金することだけで生き続けようとしている。
その生命維持装置が、世界の基軸通貨であるドルの発行権限である。
いくらでも自由に刷れるドルは、それを印刷するだけで、いくらでも他国から借金できる魔法の紙幣である。
アメリカはこの魔法の紙幣を発行できる限り、飢え死にすることはない。
これさえ持っていれば、借金の上限はない。無限大に借金を重ねていくことができるし、実際そのように借金を増大し続けている。
しかしこの借金は決して元金の返済をしない借金である。
しかしいつまでもそれを続けていれば世界経済はもたない。

ドイツはそのことを意識している。
ドイツがギリシャに借金返済を迫るのも、そのことを意識しているからである。
当然そのことはアメリカにとっておもしろくないことである。
同じ借金大国アメリカにとって、ギリシャへの批判はアメリカへの批判である。

『借金を返せ』ということは当然ことである。
今世界が抱える最大の問題は、この当然のことが言えないことにある。

ドルとはアメリカの借金である。
ドル紙幣はアメリカの発行した借用証書である。(正確にはFRBだが)
この借用証書には何の裏付けもない。ただ輪転機を回しただけである。それだけのコストでいくらでも発行できるのが、ドルショック以降のドルである。
これが世界中に蔓延している。
どこの国もドルを欲しがらない。
そんななかで世界最大のドル買い介入を行っているのが日本である。

今ドルは、75円 → 122円、とドル高になっているため、日本はさしあたってドル買い介入をする必要がない。
しかしその代わりに日本に要求されていることが、アメリカへの軍事援助である。
日本には憲法上、集団的自衛権はない。にもかかわらず、自民党は明日にも戦争法案を衆議院で強行採決しようとしている。

このことは日本がアメリカの借金財政をファイナンスしていることと何ら変わらない。
いやそれ以上に、日本人の財産だけではなく、生命までも脅かすものとして、どこまでもアメリカの罠に組み込まれていくことを示している。

アメリカに自力復活の力は残っていない。
だからアメリカはドルのライバルとしてのユーロの力を削減しようとしてギリシャ危機を仕掛けた。
軍事的には、日本国憲法を無視してまで、日本に軍事協力をさせようとしている。

アベシンゾーは2007.9月に一度首相を退いたが、5年後の2012.12月に首相に復活している。
その間死んだふりをしていたが、実はアベノミクスというとんでもない毒薬を仕込まれていた。
菅 → 野田 → 安倍、という首相の交代劇は、実は親米政権として一貫したものである。
菅と野田は、大々的にドル買い介入を行ってアメリカを支援し、
安倍は、黒田を起用して日銀に異次元の金融緩和を行わせ、アメリカに日本の資金を貢いでいる。

昨年の2014.10.29日にアメリカが量的金融緩和第3弾(QE3)を終了すると、
その2日後の10.31日に日銀が追加の金融緩和を行ったことについても、日米双方の金融政策が逆方向を向いているなどとマスコミはピントはずれな解説をしていたが、
何のことはない、日本がアメリカにお金を貢いでいるという構造は一貫しているのである。

小沢叩きも、アベシンゾーを再度首相にするための準備に過ぎない。
アベシンゾーとはそういう首相である。アメリカによって周到に準備された首相である。不正選挙という手口まで使って。

敗戦国日本とドイツは1985年のプラザ合意以降、まったく違った道を歩んでいる。
日本はズルズルべったりとアメリカの意向に付き従っているだけだが、
ドイツは、没落するイギリスに代わってヨーロッパの主導権を握り、ヨーロッパをまとめ、ドルに対抗しうるユーロの発行までこぎ着けた。
今のギリシャ危機はその延長線上にあるアメリカとドイツの戦いである。

借金漬けの軍事大国アメリカに、軍事協力することがどんなに危険なことか、
アベシンゾーの判断力はチプラス以下ではないか。

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