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2015年5月17日日曜日

「鳩山・小沢のコンビが対米従属をやめる最後の可能性でした。」田中宇氏インタビュー:岩上安身氏」

5月14日「岩上安身による国際ジャーナリスト・田中宇氏インタビュー」の模様を実況します。
新刊『金融世界大戦』の内容を中心にお話をうかがいます。
本日の配信は会員限定(http://iwj.co.jp/wj/member/limited … …)での配信となります。


岩上「本日は田中宇さんをお招きしました。あの硬質で情報量の多いメルマガを読んでいますと、田中さんは機械ではないか、とも思えてきます。世界は今どうなっているのか、ウォッチし続けている田中さんにお話をお聞きしたいと思います」

田中氏「私の関心の中心は、米国の覇権についてです。そのことをずっと見てきたし、これからもずっと見ていくことになると思います」
岩上「本日は、新刊『金融世界大戦~第三次世界大戦はすでに始まっている』の内容に沿ってお話をお聞きします。こちらの本は、後ほど田中さんにサインしていただいて、『IWJブックショップ』で会員の皆様がお買い求めいただけるようにします」
岩上「まず、昨日配信されたメルマガの内容からおうかがいしたいと思います。カナダ人が国境の検査官によってこれまでに25億ドルを没収されている、と。没収されたカネは、米当局の予算の一部になっているそうですね」
岩上「また、ファーグソンやボルチモアでの暴動から、数年以内に米国内で武装蜂起が起きる可能性もある、とのことですが」
田中氏「ファーグソン市民の7,8割が警察によって送検されています。市民のほぼ全員が犯罪者扱いされてしまっています」
田中氏「防衛のために銃を持っているわけですが、株価が1万5千円を割ったら、自宅に銃弾を用意するように、という記事もあります。ファーグソンやボルチモアでは、資本家が黒人の対立を煽るようなことをしています」
岩上「米国では50州のうち、22州が財政赤字、とのことですが」
田中氏「リーマン・ショックの直後は45州でした。いまだに、リーマンショックから立ち直れていない州がほとんど。米国は実体経済が弱り、どんどん金融だらけになっています」
田中氏「米国は先進諸国の中で、医療費が最も高く、医療の質が最も低い国。オバマ・ケアは大変掛け金が高いので、若い人は入りたがりません。しかし日本はどんどん、米国のようになっています。国民健康保険の崩壊や非正規雇用の拡大など」
岩上「日本でも、救急車に乗ったら3万から5万取ろう、という話になっています」
田中氏「日本のアメリカ化ですね。しかし、米国には市民メディアがたくさんあって結構ギャギャ―言いますが、日本はそうならないですね。『汝、臣民』だらけですからね」
岩上「2033年には公的社会保障制度の基金が底をつく、と」
田中氏「ハーバードは、2020年代に立ちいかなくなる、と言っています。米国も何度も公的な保険制度を作ろうとしましたが、医者や製薬会社などのロビイストの抵抗で実現しませんでした」
岩上「米国の倫理の低下も著しい、ということですね。NSAの職員が知り合いの異性のメールなどを漁って盗み見している、と。これはストーカーと変わらないですよね」
田中氏「飛行場の検査でも、そういうことをやっている連中がいますね」
岩上「米国内で内戦の危機、ということですが。テキサス州の右派や言論人が『米政府がテキサス州を軍事支配しようとしている』と大騒ぎになった、と」
田中氏「これは明らかな、テキサス州の右派に対する煽動ですよね」
岩上「日本は、政治的にも軍事的にも米国にぶらさがっています。米国債を買い支えているわけですね。ドルが崩壊したら、日本国債がダメになってしまいます。まず、FRB議長が『QE3』が失敗した、と発言しました」
田中氏「QEというのは量的緩和のこと。これが個人消費を押し上げる、と日銀などは言っています。経済が弱い国がこれをやると、数ヶ月で破綻します。しかし米国は、ドルが基軸通貨なので、これを延々とやっている訳ですね」
岩上「なぜ日銀は、アベノミクスなどと言って、米国がやめたタイミングでQEを始めたのでしょうか」
田中氏「日本は、米国がやめたのとほぼ同日にQEを始めた。日本としては、米国が危険になることを救ってあげた、ということです」
岩上「日本の『出口』はどうなるのでしょうか」
田中氏「出口はないですよ。米国は日本がいたから、出口があったわけですね。日本の金融関係者は、ブルームバーグやロイターなどの取材に応じて、『出口はない。早くやめるべきだ』と発言しています」
岩上「苦しいから、麻薬を打って一時的に苦しさを紛らわせている状態ですね。しかし、『出口』がないということは、この麻薬をやめることができない、ということですよね」
田中氏「キャッシュをなくそう、という動きが世界的に出ています。フランスでは、数百万ユーロ以上の決裁は、キャッシュですることができない、ということになっています。口座で取引をしなさい、と。日本は世界で有数の現金大国ですが」
岩上「グリーンスパン元FRB議長が、長期的な金相場の上昇を予測しました。QE3は失敗だった、とも宣言しています」
田中氏「彼は、額は言わなかったものの、世界の中央銀行に対して『今のうちに金を買っておきなさいよ』という意味で言ったのだと思います」
岩上「今はNISAをやっている人も多いです。FXをやっている人も多い」
田中氏「非常に危険です。QEをやっている限り、株価は上がります。しかし、QEには終わりはないので、もう崩壊しかありません。終わる時は、全部終わります」
田中氏「米国の雇用統計や経済統計はおかしい。粉飾されています。労働参加率が低いということは、失業率が高いということですが、そのことが統計に出てきません。統計上は失業率は6%ですが、実際は20%ぐらいに達しています」
田中氏「ハーバードに留学したことがありますが、米国の知的エリートは非常に頭がいい。世界中から留学生が来ていますから、中東の問題でも、彼らが失敗するとは思えません。現在は、金融崩壊を防ぐということが、全員のコンセンサス」
田中氏「米国は自滅的なところがあり、バブル崩壊にしても、イラク戦争に関しても、わざとやっていると思います。この仮説(世界の多極化)が正しいとしか思えない方向に、世の中は動いていると思います」
岩上「私は正直、『多極化』については分からないところがあります」
田中氏「イラク戦争についても、大量破壊兵器が無いことは、誰でもしっていました。これは、『多極化』ということを考えないと、説明がつきません」
岩上「日本の大メディアに対して、不信感をお持ちですよね」
田中氏「私は日本語の新聞は読みません。英米初の情報に接すると、日本の情報は頼りないと思います。共同通信では、経済部にいましたが」
岩上「今回の『金融世界大戦』を読んでいて感じたのは、国際情勢を、帝国の論理と資本の論理の相克として描いているところです。資本主義は差異を前提としたものですが、グローバル化によりフロンティアがなくなり、均質化した後はどうなるか、ということです」
田中氏「そうです。多極化の後、どうなるか、ということが問題なのです。時代が今に近づけば近づくほど、発展の角度が急です。50年というスパンで考えると、中国の西域の人もかなり豊かになっていると思います。問題は、その後どうなるか、ということです」
岩上「日本というのは、米国の覇権というものを見て、一極化された世界に過剰適応してきた国です。AIIBで各国が中国についていっている時、日本は相変わらず対米従属を続けています」
田中氏「日本は、米国の崩壊につきあうことで、日本も崩壊していくのだ、ということです。しかし、日本の報道を見ていると、日本が世界でも稀に見るほどの対米従属国であることを、しっかりと報じていません。これは、官僚による独裁を続けるためです」
田中氏「安倍政権ほど、官僚の言いなりになっている政権はありません。自民党は、官僚の言いなりになることによって、民主党を倒して復権しました。官僚の対米従属システムをどうにかするしかありません。外務省が、米国の意志を代表しています」
田中氏「明治維新は、国民が支持した革命ではありません。薩長は英国の傀儡です。しかし、第一次世界大戦でヨーロッパが自滅し、『勝手にしろ』ということになって、日本は大東亜共栄圏ということになりました」
田中氏「鳩山・小沢のコンビが対米従属をやめる最後の可能性でした。これが、官僚とマスコミによって潰されました。このことによって、日本が対米従属をやめる可能性はなくなりました。もう、米国が崩壊してリセットするしかないと、私は思っています」
岩上「先日、ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏が、いずれ米国は日本に核武装を許す、ということを言っていました」
田中氏「外務省からすれば、核武装をしたら対米従属の終わり。日本が核武装をするのは、米国から見捨てられる時です」
岩上「リーマン危機以来、世界の億万長者の総数が倍増した1646人になりました。これは、地球規模で起きていることです」
田中氏「しかしこれは、暴動によって解決すべき問題ではありません。マネーゲームを禁止するしかありません」
岩上「QEでお金がジャブジャブなのに実体経済が回復しないのは、自社株を買っているからではないでしょうか」
田中氏「企業が自社株を買うということは、株を償却するということ。株価が上がると投資家に褒められます。釣り上げて見せているだけ」
田中氏「QEから自社株が全部つながっていて、もう崩壊するしかない。ウォルマートが理由を言わずに、色々なところから撤退しています。理由を言うと、小売がダメだ、ということが分かってしまうから。ショッピングモールのフィアット化が進んでいる」
田中氏「サブプライムローンの時より、今のほうが状態が悪い、と言えます。昨年末の時点では、リスク軽視が如実になり、ジャンク債の利回りが史上最低を更新しています。バブル崩壊まで、こういうことが続きます。早ければ、今年中にバブル崩壊が起きる」
岩上「今の日本経済、特に株高は、かなり政治的です。この目的は、日米ガイドラインの改定と集団的自衛権行使容認、そしてTPP。このために株高を演出して、政権の支持率を維持したいのでは」
田中氏「QEはもはやポリティカルな問題ではやめられません。乱高下みたいなかたちになっていって、いつか制御不能になる。債券よりも先に、株が暴落すると思います。株のほうがリスクが高い」
岩上「安倍総理は、この夏までに安保法制をやる、ということを米国に約束しました」
田中氏「日本の政治的意思でどうこう、ということにはなりません。米国が崩壊した時に、日本も『しっかりと』崩壊します。今年中ですね。『焼けるがまま』の状態になる」
岩上「米国債は世界最大のネズミ講だ、と書いていますね」
田中氏「米国のQE3や日銀のアベノミクスは金融市場を金余り状態にして、相場をつり上げる政策です。これをやらないと、ドルが潰れてしまう、という話です」
田中氏「米中戦争はあり得ません。なぜなら、中国は米国債を持っているから。米国は、日本やフィリピンに軍事品を売ることには関心がありますが、戦争をする気もないし、戦争に巻き込まれたくない、と思っています」
岩上「金地金は、現物で世界的に需要増ですが、米金融界が先物で価格操作をしている、と言われています」
田中氏「買っても上がらない状態です。金地金がドルに勝つというのは、一種の信仰のような状態になっています」
田中氏「米国の銀行の金庫に、金は預けてはいけない、ということになっています。キャッシュを禁止するのと同じように、債券システムの中に取り込もうとしているのです。これは、日本でも起こるかもしれません。金地金については、先行きが分からない」
岩上「アメリカの実体経済はマイナス成長です。大学新卒者の83%が仕事に就けない状態です。長期的な電力需要がマイナスだから、というわけですね」
田中氏「昔の中国のような状態ですね。政府の統計が信用できないから、電力需要を見るしかない」
岩上「BRICsと非ドル化の動きについて」
田中氏「米国は、こうした動きをわざと軽視しますよね。上海協力機構に対しても同じ態度です。日本のメディアは米国発の情報を鵜呑みにしているので、BRICsの台頭や中露の接近なんて、あり得ないと思っています」
岩上「サウジアラビアがイエメンを侵攻しました。中東の専門家である臼杵陽先生によると、サウジはかなり場当たり的になっている、ということですが」
田中氏「イランと和解するんじゃないですか。しかし、イスラエルがそれに反対する」
田中氏「ネタニヤフはもう、右派との連携よりも、和平とやりたがっている中道派と組みたがっているのではないか。しかし、イスラエルはなかなか転換ができない。イエメンについては、なぜサウジはあんな戦争をするのか、と思っています」
岩上「イエメンについて、米国の動きがおかしい、と指摘されていますね。米国は、サウジの侵攻前にイエメンから撤退しています」
田中氏「サウジのあの戦争は、米国の撤退によって引き起こされました。そもそもあれは、国際法違反です」
田中氏「イエメンの停戦は、ロシアとイランが中心となるでしょう。ここにも、ロシアとイランによる多極化を見てとることができます」
岩上「サウジも従米国家ですが、米国は中東からは撤退するのでしょうか」
田中氏「イランからは撤退しましたが、中東からは撤退しない、と言っています。『撤退ではない』と米国は言い続けると思います」
岩上「最初の世界的な覇権国家はイギリスだ、と言われていますね」
田中氏「そうです。他方でロシアは、シベリア鉄道を使った、ランドパワーとしての帝国でした」
田中氏「ドイツに資本を提供したのは誰か、というのが重要です。ドイツとイギリスを拮抗させるわけですね。そして、問題を解決するための会議を設けて、イギリスが背後で調停者の位置に居座るわけですね」
田中氏「ドイツがすごいのは、戦争責任をすべて認めたうえで、EUに参加していることです。先日、メルケル首相が来日して、安倍総理に歴史認識についてアドバイスしましたが」
岩上「今後、中国を中心としたユーラシアに覇権が移る時、ユダヤ人は米国から中国に移るのでしょうか」
田中氏「上海に住むと目立つので、ユダヤ人が覇権掌握者として脱皮するのではないでしょうか。そこに住んでいなくても、掌握できる、というように」
田中氏「ユダヤ人は、もう一度隠然としたネットワークに戻るのかもしれませんね。新しい多極化の時代は、『ユダヤーチャイナ主義』と呼ばれるかもしれませんね。日本人も、対米従属をやめて、そこに入ればいいのに、と思います」
以上で「岩上安身による田中宇氏インタビュー」の実況を終了します。動画アーカイブは準備が整い次第、IWJのトップページにアップします。

読後の私信: やはり明治維新・開国以来この村は、自治独立国家に成り得なかったことと確信しました。 それ故、中・韓が何時までも小ばかにする基調である。

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