ページ

2013年1月16日水曜日

外から見た日本

・「日本の過ちは、自らの価値を捨て欧米に迎合したことだ」と、マレーシアの元首相

 「日本が苦境にあるのは、経済大国への道を切り開いた自らの価値を捨て、欧米に迎合したからだ。例えば終身雇用制などに重きを置かなくなった。政府の指導や民間企業との協力関係はいまや犯罪視される」

 「系列、行政指導、日本株式会社といった、欧米から批判されたシステムを捨てたことは大きな誤りだった」

 「ルックイースト政策」を唱え、日本型経済発展モデルを高く評価したマレーシア元首相、マハティール・ビン・モハマドさんへのインタビュー記事が本日1月15日の朝日新聞朝刊9面に掲載されました。

 元首相は、「日本株式会社がなぜ悪いのか。終身雇用制のどこが悪いのか。日本は自分が築き上げた経済発展モデルを、欧米に言われたからといって、すべて捨て去る必要などまったくないではないか」といっています。元首相が自国で推進した「ルックイースト政策」は、端的には「日本に学べ」というものでした。その内容は、日本株式会社を支えた、官民一体となった経済体制であり、それは終身雇用制によって裏打ちされていました。

 ところが、アメリカからの直接的な圧力や、繰り返し求められる日米構造協議などでの要求に、日本はつぎつぎと屈服し、経済構造をアメリカに近い形にしてしまったのでした。その結果、日本は方向性を見失い漂流を始めて、「ロスト20年」、つまり失われた20年になったのです。

 しかも、方向感覚喪失の漂流は、現在も続いています。その原因を元首相はこう見ています。「確かにグローバリゼーションはやってきた。それは欧米のアイデアであり、彼らの利益のために考え出された。新たなシステムを採用すれば、混乱はつきものだ。日本は国内の状況を斟酌せずに受け入れた。それまでのやり方とグロバリゼーションを調和させることに失敗した」

 中国脅威論についても、明確に否定しています。「過去2千年、中国がマレーシアを侵略したことはない。ベトナムに拡張を試みたが、あきらめた。われわれを植民地化した西欧に比べれば中国が過去、好戦的だったとは言えない。市場経済の時代に、中国が日本をはじめ、周辺国を侵略する意図を持つとは思えない」

 元首相は、中国との共存共栄を構想しています。現役首相の時には、「東アジア経済会議」(EAEC)を提唱し、そこには中国の参加を見込んでいました。ところが、中国を参加させる枠組みにアメリカが反対し、中国排除の圧力をかけました。このとき日本は、アメリカの意向を汲んで、EAECに反対を表明したのでした。アジアの各国の前で、恥ずかしげもなくアメリカのポチぶり踊りを披露したのです。

 「(アメリカは)TPP(環太平洋経済連携協定)でも中国を除外しようとする。われわれは東洋の人間だ。敵をつくるのではなく、自分たちの問題は自分たちで解決すべきだ」と、中国との共存共栄を極めて明瞭に提唱しています。

 日本は、自らが持つ素晴らしい価値を自分で認識する必要があります。例え、アメリカに「それはまずいから改めよ」と圧力をかけられても、守るべきは守らなければ、独立国とはいえませんよね。

 安倍首相はTPPに対し、「守るべきは守る」と言います。しかし、いままでの実績はアメリカから言われたらそれを受け入れるばかりでした。日本の要所要所は、アメリカの意向を受け入れる構造へと変革させられています。

 かつて日本が、「黒船4杯」の圧力で不平等条約を押し付けられ、それを改めるために営々と努力してきました。しかし、太平洋戦争に敗れてからは、いっそうひどいアメリカからの不平等要求を受け入れる国に堕しています。

 安倍首相は、就任後初の訪問国をアメリカと定めていましたが、アメリカ側から「お土産が小さい」と、門前払いを食らいました。かなりのお気に召すお土産を用意しなければならない状態です。いつまでこんな屈辱に耐えるのでしょうか。それとも習い性になって、要求されれば要求されるほど、嬉々としてお土産を用意する思考回路になっているのでしょうか。

0 件のコメント: