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2014年7月8日火曜日

社会現況


転載:

    安倍政権は、自民・公明の与党で衆院・参院の過半数を確保しています。
   しかし、そもそも政権発足のきっかけである2012年12月の衆院選挙は、不正選挙ではないかとの疑惑は今も消えていません。また裁判所が「違憲」と判決している「1票の格差」の問題もあり、現在の議会の正当性は非常に疑わしいものなのです。

   国民が疑っているそんな危うい政権が、特定秘密保護法案の強行採決、沖縄基地問題で民意を無視した強硬姿勢、原発再稼動の強行、集団的自衛権の採決などの画策を見るとき、私たちはとうていそれを支持できるものではないでしょう。安倍首相は2度目の首相登坂ですが、最初が体調不良の突然辞任という大失態であったために、今回は失敗が許されず逃げられない「背水の陣」なのです。

   1年半を経て、安倍政権の支持率が60%前後を保っているというのは、これはもう世論誘導もそうですが、数字のトリックでしかなく操作の結果ではないかと思います。なぜなら前回の衆院選で、比例区では34%しか得票していなかった政権が、強硬な国会運営の姿勢を一向に正さないにもかかわらず、60%もの支持率を得るはずがないからです。安部政権が「アベノミクス」と自称する経済政策が、1年以上経っても国民生活に関してはほとんど効果を上げてはいません。

   かつての小泉構造改革の亡霊を引きずる竹中平蔵氏が、再び政府ブレーンに復帰していることも理解できないことです。竹中氏は、今日の格差社会を生み出した張本人であり、TPPを推し進める維新の会のブレーンでもあったのです。そのやり方は、すでに破綻した新自由主義を持ち込んで、格差拡大と大企業優遇政策なのです。

   2013年4月初頭に日銀の黒田東彦総裁による「異次元の金融緩和」に端を発する円安の傾向は、たまたまアメリカ経済が一時的に上向き、米ドルが買われたことが直接の要因でした。しかしその後は円安はいったん停止しています。円安の結果として最初に起こるのは、輸入品の高騰などによる「物価上昇」です。生活実感はさらに苦しくなるので、国民の不満が高まることになります。この金融緩和政策は、いずれ国債金利の上昇を招きます。金利上昇であっという間に財政が圧迫され、1998年の消費税増税後に起こったように、証券会社や銀行がバタバタと倒れる可能性があります。

   そもそもアベノミクスは、日本から資産を奪うための、「裏の仕組みを知る人々」の謀略でしかないのです。世界の中でも日本はもっとも金持ちの国で、国民の金融資産は1400兆円とも言われ、預貯金だけでも数百兆円に上ります。このお金に目をつけて、TPPや消費税導入などが仕組まれたのです。それが日銀の黒田総裁の指揮の下、日銀がどんどん発行し、国債や投資信託を購入して市場に投入されたお金は、海外ファンドマネージャーが株価を操作してすべて掠め取っていく仕組みになっています。

   1970年代にクォンタム・ファンドを創設し、4200%という利益を生み出した投資家のジム・ロジャーズ氏は、安倍政権が発足する直前に日本株を買い漁り、暴落する寸前の5月6日に全て売却して莫大な利益を上げたと語っています。つまり、裏の仕組みがわかっている人々だけが株価などを操作し、利益を独占するシステムでしかないのです。そして現在の株価の乱高下はほんの序の口であり、彼らによって再び株価高騰が演出され、国内の投資家が飛びついたところで大暴落が仕組まれます。

   こうして日本から海外へどんどんお金を吸い取って持ち出していくのが、アベノミクスの役割なのです。消費税の増税もその1つであり、すべての国民から等しく税金を搾り取るわけで、これはアメリカのための消費税なのです。このままいくと日本の国民は、2016年ぐらいまでには、あらゆる資産を掠め取られてみんなが貧困状態になるでしょう。日本の富は、「裏のシステム」によって根こそぎ奪われてしまうことになります。

   アベノミクスの「第一の矢・金融緩和」だけで、これだけ日本の資産が奪われたのですから、「第二の矢・財政出動」、また「第三の矢・成長戦略」に注ぎ込まれる税金によって、国民のお金は今後どんどん流出することになります。

   安倍首相が「成長戦略」についての素案を発表した時、それとほぼ同時に株価が下落するという出来事がありました。本来であれば株式市場が刺激されて株価は上昇するのが普通ですが、そうならなかったのには裏があったのです。そのもっとも大きい理由はその素案に、外国資本の要求している法人税減税が含まれなかったことであり、その次に保険外の医療を促進する「混合診療全面解禁」も入れられなかったことです。

   法人税増税は、外国資本が第一に要求することなのです。
   つまり外国資本はTPP締結後のことをすでに視野に入れているわけで、「混合診療解禁」は日本の医療を崩壊へと導く第一歩になるものです。しかしこうした外国資本の要求が、財務省の抵抗と日本医師会の圧力で「素案」に含まれなかったことに、海外の投資家が即座にダメ出しをしたわけです。あらゆる方法で日本政府に対して圧力をかけている勢力が存在しています。

日本は「トランジスタの発想」と「町工場の技術」でサバイバルできる

   
アベノミクスによる最初の効果とも言うべき「金融緩和」による円安は、安倍政権のブレーンの読みでは「円安による輸出増で景気がよくなる」というものでした。ところが1年半を経過しても輸出は伸びず、一方輸入額が円高によってうなぎ上りとなり貿易赤字がもう3年も続いており、2013年度は11兆4803億円の赤字となりました。

   それもそのはずで日本の製造業は、生産拠点の工場を国内から海外ヘシフトしているので海外で販売します。ですから日本国内からの輸出は増えるわけがありません。海外で現地生産している日本の企業の割合は、1987年には32・5%でしたが、2012年には約68%に増加しています。しかも以前は日本製の車や家電の部品は日本で作り、それを海外の工場に輸出して製品化していましたが、現在は部品のほとんども現地で調達するようになっています。つまり3分の2以上の企業が、海外で部品の調達から生産までを行なっているのです。

   貿易赤字の増加について、「原発が止まっている分、化石燃料の輸入が増えたせいだ」「だから原発を再稼動しないと大変なことになる」という主張をする人がいます。ところが実際には2013年度の化石燃料輸入額の増加は、その大半が「燃料価格の上昇」と「円安」が原因なのです。つまり化石燃料輸入額は10兆円ですが、そのうち輸入量の増加分は約1・3兆円で、何と残りの8、9兆円は「価格上昇約6兆円」+「円安約3・5兆円」なのです。つまり、「原発が止まっているから貿易赤字になるのだ」という考えは間違っているのです。

   エネルギー問題は、根本的に言うならば原油も天然ガスも使用する絶対量を減らすことを考えるべきです。日本は「省エネ技術」では世界の最先端を行っています。ですからさらに効率的に「省エネ」する方法や、太陽光、水素などの活用でイノベーション・革新を行ない、貿易赤字を減らすことができます。

   かつて日本は、「トランジスタ・ラジオ」の普及で、技術立国、科学立国となりました。
   ソニーの研究員であった江崎玲於奈氏は、トランジスタの研究から「エサキダイオード」を発明し、ノーベル物理学賞を受賞しました。その技術革新の精神で、新たな技術を生み出していくことができます。そもそも日本は戦後の焼け野原から出発して、高度成長による工業と技術の発展、科学のイノベーションによって今日の日本の繁栄があるのですから、もう一度出直せばできない話ではありません。

   もう引退しましたがアメリカNASAのスペースシャトルも、日本の町工場で作ったエンジンバブルの部品がなければ打ち上げられなかったのです。日本人お得意の「技術革新」と町工場の技術」に改めて磨きをかけること、それこそが日本が今後、混乱を深める世界の中で生き残っていく「サバイバル戦略」の中心になれると考えています。


    book 『闇の世界権力が「完全隷属国家日本」を強く望む理由』 
                                    中丸 薫著  ヒカルランド

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