[1551] ウクライナ情勢で皆が知っておくべき真実。
そして私の新しい金融本のお知らせ。 |
副島隆彦
| 2014-03-21 | ||
副島隆彦です。 今日は、2014年3月21日です。
「 鉄は熱いうちに打て 」と言う格言(マキシム)が有って、いろいろの含意があるのだろうし、歴史的、民族的にいろいろ解釈をするだろう。 私にとっては、この格言は、「自分の金融・経済の本を書く際には、短期間で書く」ということでした。 私は、3月6日から丁度、10日間(15日まで)で一冊書き上げました。 出版社の独房のような(窓がない)会議室に籠(こも)って、オペレーターの人と2人で、原稿の打ち込み作業を始めた。 4日目から、ノドをひどくやられて、持病の気管支炎をこじらせて、 私の場合は、風邪 ( かぜであって、感冒になどならない。感冒=インフルーエンザは風邪ではない。病原菌による感染症だ) になんか負けないぐらい慢性気管支炎で、長年の爛(ただ)れ、腫(は)れで鍛(きた)えあげているので、風邪なんか怖くない。 厳しい環境で生きている動物(人間を含む)は、病気への耐性(たいせい)もものすごい。 だから、ちょっとのことでは発病しない。 私は気管支炎がひどくて頭痛がヒドいまま、あとの5日間書き続けて、それで仕上げた。 寝ている時間はほんの僅(わす)かだった。 出来た本の名前は、「金融市場 を 操(あやつ)られる 絶望国家・日本」(徳間書店 刊)である。 この本は、見本本(みほんぼん)が4月3日に出て、それが著者である私に届いて、本屋に並ぶ発売は4月8日だそうだ。 即断、即決で、私は生きているから、私のこの最新版の金融・経済本には、株、債券、金(きん)、為替(円・ドル相場)からその他すべての金融問題を扱っている。 ビットコインのことから、ウクライナ情勢まで、最新の情報と知識を、凝縮した。 自民党内の政治家たちの動きもあれこれ、微細に書いた。 私、副島隆彦が、たった10日間で書いた本だからといって、きっと粗製乱造(そせいらんぞう)だなどとは決して言わせない。 私の総合的戦略家(トータル・ストラテジスト)としての頭脳では、金融・経済場面への時間投入は、それぐらいで一冊を仕上げることが出来る。 だから、この本には、各種の金融統計資料をいつもの通り載せているが、最新の金融数字は、すべて3月13日(水)のものだ。 本当なら、3月末には、書店に並べたかったのだが、出版・書籍流通業界の業界再編の煽(あお)りでうまく行かなかった。 それでもまあ、いいや。 この 「(すべての日本の、アメリカもそうだが)金融市場は(今や)政府、国家によって、操られている、 市場操作されているのだから、そのことに鋭く気付いて、そのことを肝に銘じて、 逆に、逆に自分の相場を張って、政府の動きの裏を書いて、この統制経済(コントロールド・エコノミー)の時代を生き延びよ」 という本だ。 本の帯(おび。腰(こし)巻きとも言う)に、「いい加減に皆、気づけ!」と書いた。 株式投資をやっている人たちは、皆、薄々(うすうす)と気付いているのだ。 それなのに深くは自覚していない。 今の若者用語で言うなら、「そろそろ気づけよー」である。 そのことを私、副島隆彦は言っている。 気付いているのに自覚がない。 政府が、株価を操作して、いいように市場を動かしている。 それと、「日経300」とかの、日経平均の指標(インデックス)取引と、さらにそれに輪をかけて、 大証(だいしょう。大阪証券取引所)を資本で乗っ取った、シカゴマーカンタイル取引所(CME,シーエムイー)の夜間取引の指標取引で、 いいようにその日の株価を引き釣(づ)り回している。 皆、分かっているのに、分かっていない。 そのことを、今度の本一冊丸々で書いた。 乞うご期待、だ。 4月になったら、消費税の8%への増税で、日本の景気は、相当に悪くなる。 安部首相とブレインの官僚たちは、日本国民に新たに襲い掛かる窮状に、それが国民が果たして耐えられか、自分たちの失政の重大な責任として感じずにはおれないだろう。 責任者たちが責任を取るべきだ。 私は、この金融・経済本 に取り掛かる日(3月6日)の朝まで、ウクライナ情勢を調べていた。 それを、ここの重たい掲示板に載せてから、出版社の独房会議室に入りに行こうと思っていた。 が、間に合わなかった。その時に、書き残したものを、以下に載せる。 あれから2週間が経(た)つが、私が情報を集めて、分析したとおりで、何の変化もない。 「ウクライナでは、先に手を出して、政府を暴力で転覆させた 反政府勢力=今のウクライナの暫定政権 の負けだ。 あのやり方では、西側とりわけヨーロッパ人たちの支持を取り付ける事はできない。 暫定政権には、おかしな、奇っ怪な極右人間たちが入り込んでいる。 だから、全体は、ロシアのプーチンの 「寝技、押さえ込みの一本勝ち」だ。 プーチンは、柔道やテコンドーのような柔術(空手)の猛者だ。だからこれらの技を知っている。 一旦、引いて、それからジワジワと時間を掛けて、暫定政権の内紛、分裂を待って、それから押さえ込むだろう。 以下が、私が、3月6日に書いた文である。 * * * * * 副島隆彦です。 今日は、2014年3月6日です。 ウクライナ情勢の最新でもない、昨日のニューズを載せます。 英FT(フィナンシャル・タイムズ)は、「ロシアを世界が押さえつける」、と 負け惜しみで書くけれども、 私は、今回の ウクライナ問題は、ロシアのプーチンの 寝技の一本勝ちだ、と 判定する。 プーチンは、ロシア軍をクリミア以外には投入をしないで、一旦、引いた。 このあともウクライナは、分裂国家、国論分断国家 として ズルズルと続くだろう。 この点では、実は、日本とそっくりだ。 回廊(かいろう)国家=コリダ―・ネイション と言って、2つの大きな勢力(帝国)の間で、廊下(ろうか。corridor コリダー)のように外国の軍隊に行進され、 踏みにじられ、居座られるものだから、国内が引き裂かれ分裂する。 このような国家の分裂状態を繰り返す回廊国家 corridor nation が、ポーランドと朝鮮半島だ。 だが、もしかしたら、私たちの日本も回廊国家になりつつあるのかも知れない。 アメリカと中国という2つの帝国の間で、ウクライナと同じような分裂国家の様相を呈する。 ロシアもウクライナも、そしてポーランドもベラルーシ(白ロシア)も、本当はスラブ(スレイブ)民族であって、 いくら、ウクライナ人が、自分たちは、Russi ルーシー とは違う、西洋の純系白人だと気取っても(キエフ大公国の伝統)アジア人種との融合問題は消えてなくならない。 ウクライナ人が自分たちのことを、過度に西洋白人(ヨーロピアン・ホワイト)であって、 モンゴル=キプチャク汗国に屈服したルーシー Russi のロシア人(モスクワ大公国)とは全く違うのだ、と言えば言うほど、 私たち東アジアの モンゴル系人種である 東洋人に対して失礼である。 ヨーロッパ白人たちは、ウクライナを助ける力はない。 ウクライナ人は、自分が腹の底から分かっているとおり、 「ロシアとの兄弟民族として生きてゆく」のが一番、仕合わせなのだ。 自分を純系白人だと言って、そのことを鼻にかける人間を、私は軽蔑するし不愉快である。 この問題は、カフカス地方の、グルジアが始めた南オセチア侵攻とロシア軍の反撃による失敗( 2008年8月)と同じ感じだ。 旧ユーゴのセルビア、ボスニアの問題とも同じだ。 ヨーロッパ諸国の NATO(ネイトー)軍も アメリカ政府も どうせ軍隊を出動させない。そういう資金もない。 だからプーチンの勝ちだ。 どうせ元々が、旧ロシア、旧ソビエトの領域( リージョン、region)の話だ。 勝手に、ヨーロッパ白人文明地域(リージョン)を外側に広げようとしても、うまくゆかない。 本当の本当は、ロシア人も、ウクライナ人も、モンゴル帝国の一部だったのであり、「タタールの軛(くびき、頸木)」に長く支配された国々である。 このことでは、世界史(=人類史)の大きな歴史学に拠(よ)っている 岡田英弘(おかだひでひろ)教授と奥さまで後継者の宮脇淳子(みやわきじゅんこ)女史の研究が、世界基準でありずば抜けて優れている。 事態の推移を最新の新聞記事で確認しておく。 (転載貼り付け始め) ●「米国 ケリー国務長官のウクライナ訪問…事態打開を模索 」 毎日新聞 2014年3月4日(火) キエフ 緊迫するウクライナ情勢を受け、オバマ米大統領は3日午後、ロシアが南部クリミア半島で軍事活動を停止しない場合、 「ロシアを孤立させ、経済に打撃を与えるあらゆる経済的、外交的措置を検討する」と明言し、対露交流政策の凍結に踏み切った。 ケリー米国務長官が4日にウクライナに到着、新政権首脳と土壇場の打開策を模索するが、ロシア側との歩み寄りが実現するのか不透明な情勢だ。 オバマ大統領は「ロシアが世界中から強い非難を受けていることは、ロシアが歴史の誤った側にいることを示している」と批判。 ロシア側がクリミア半島のロシア系住民の保護を介入の理由としていることについて、全欧安保協力機構(OSCE)や国連が参加した「連絡グループ」を通じた監視団の派遣案などの受け入れを呼びかけた。 米政府は3月3日、ロシア南部ソチで7日に開幕するパラリンピックへ政府代表団を派遣しない方針を決定。 国防総省もロシア軍との間の共同訓練や2国間協議、寄港など軍同士の交流を中断した。 通商代表部(USTR)も、ロシアとの貿易や投資に関する協議を中断する方針を決めた。 欧州連合(EU)も対応を急いでおり、アシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)は4日、マドリードでラブロフ露外相と会談する。 EUは緊急首脳会議を招集する6日までに、ロシアが事態を沈静化させる措置を取らない場合、ビザ自由化交渉を見直す方針を固めた。北大西洋条約機構(NATO)も3月4日、理事会を開催、軍事的警告を打ち出すべきか協議した。 クリミア半島の状況について、ウクライナのセルゲーエフ国連大使は、ロシア軍部隊が2月下旬以来、1万6000人の兵を投入していると指摘。 戦闘は起きていない模様だが、AP通信はウクライナの軍施設を包囲したロシア部隊が威嚇射撃をしていると報じるなど、衝突の危機が残されている。 ロシア大統領府によると、プーチン露大統領は3月4日、ロシア西部のウクライナ国境付近で実施していた軍事演習から、部隊の撤収を命じた。 ウクライナ新政権のヤツェニュク首相は「クリミア自治共和国は、昔も今も将来もウクライナ領だ」と「クリミア死守」の意向を強調。 ケリー長官との会談では「ウクライナの主権、独立、領土保全」を確認し、支援を求める見通し。 また数日中にEU本部のあるブリュッセルを訪れ、EU側とも対応策を協議する。 (転載貼り付け終わり) 副島隆彦です。 私がネットでウクライナ情勢を調べていたら、以下の、櫻井春彦(さくらいはるひこ)という人物の文章が一番、しっかりしていて大変、勉強になった。 この人は、1955年生まれ(58歳)で、 早稲田大学理工学部卒業で、何を職業にしているか分からないが、以下の2冊の本を書いている。 世界各国の情報機関(国家スパイ組織)のことにものすごく詳しい人だ。 書いていることは緻密で正確である。 私、副島隆彦もビックリするほどの、ものすごい反米左翼 である。 桜井 春彦の著書 1.「 テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない ― アメリカによるテロの歴史」 桜井 春彦著 (2005年9月刊 、・・・社) 2.「 アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る 」( 櫻井春彦著、洋泉社、 2007年3月刊) の2冊だ。私は、この人の「櫻井ジャーナル」のブログを読んで、こういう人が日本にも居るんだなあ、と感動した。 (転載貼り付け始め) http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201402160000/ 櫻井ジャーナル 2014.02.16 「 米国のヌランド米国務次官補は、ウクライナで50億ドルを扇動に使った と公言、その手先はネオ・ナチ 」 アメリカの親イスラエル派、一般に「ネオコン」と呼ばれている勢力はウクライナでも体制を乗っ取ろうとしているわけだが、 その手先として最前線で活動中のビクトリア・ヌランド国務次官補は、 昨年12月13日、工作資金として50億ドルを投入していることを明らかにしている。 ウクライナの体制を転覆させるために50億ドル、ざっと5000億円を使っていると公言しているのだ。 ジョン・マケイン上院議員と同じように、ヌランドはウクライナで公然と反ロシア勢力を支援してきた。 こうした工作の担当として国務次官補に任命されたとも言える。 何しろ彼女が結婚した相手はネオコンの大物、ロバート・ケーガンだ。 このヌランドがジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使と電話で話し合っている内容が今月、YouTubeで明らかにされた。 その中でヌランドの口から 「EUなんかくそくらえ(Fuck the EU)」 という下品な言葉が飛び出し、話題になったが、問題は別のところにある。 ウクライナの閣僚をどうするか検討していたのだ。 また、「オランダのロバート・セリー元駐ウクライナ大使が、国連特使としてキエフへ派遣されるとジェフリー・フェルトマン国連事務次長から聞いた」ともヌランドは話している。 その決定をヌランドは歓迎、そして 「EUなんかくそくらえ」という表現が出てくるわけだ。 EUより国連の方がネオコンの意向に沿った動きをしているということなのだろう。 確かに、シリアなどでもそうだった。 また、欧州対外行動庁(EEAS)のヘルガ・シュミット事務次長と駐ウクライナEU大使のヤン・トムビンスキーとの会話もアップロードされ、 その中でシュミット事務次長は 「アメリカからEUの対応が生ぬるいと言われている」ことを明らかにしている。 EU を「生ぬるい」と批判しているネオコンが何をしているかというと、ファシストを使った暴力行為だ。 ネオ・ナチの「スボボダ(全ウクライナ連合『自由』)」は反政府行動で棍棒、ナイフ、火焔瓶を手にし、ブルドーザーを持ち出してウクライナ政府を挑発、警官隊と衝突してきた。 抗議行動を撮影した映像や写真の中に3本指の旗を見つけたなら、それはスボボダのものだ。 ちなみにスボボダの旧党名は「ウクライナ社会ナショナル党」であり、かつてのドイツのナチは「ナショナル社会主義党」だ。 ウクライナのナショナリストは、OUN(オウ・ユー・エヌ)という団体の流れをくんでいる。 この団体は1929年に創設され、イギリスの対外情報機関MI6(エム・アイ・シックス)と結びついた後、 1938年頃に、今度はナチと手を組み、 1941年にドイツ軍がウクライナを占領すると「新秩序」の障害になると考えられていた人々、つまりユダヤ人、ロシア人、知識人、コミュニストなどの虐殺していった。 このときにOUNは勝手にウクライナの独立を宣言、ドイツとの関係が悪化するが、 1944年にソ連軍と戦うため、ドイツ軍へ合流している。 戦後、OUN の幹部は再びMI6と結びつく。 OUNのリーダーだったステファン・バンデラが、1948年にMI6に雇われている。 が、その2年前、1946年にバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが MI6 のエージェントになり、ABN(反ボルシェビキ国家連合)の議長に就任している。 この団体は1966年にAPACL(アジア人民反共連盟/後のアジア太平洋反共連盟)と合体し、WACL(世界反共連盟)になった。 反政府行動ではスボボダのほか、アフガニスタン、チェチェン、グルジアといったカフカス地方での戦闘を経験したグループも参加しているようだ。 そうした中にはシリアで反政府軍に加わっていた人々もいるようだ。 今年1月、シリアからウクライナへ約350名が入ったという情報があり、 ソチ・オリンピック期間中に何らかの動きがあるのではないかと考えている人もいる。 2014.3.3 櫻井ジャーナル 「2月中旬には米政府も露政府と協力し、話し合いで解決する意向だった が、ネオコンが暴力で妨害」 反政府派と停戦で合意したとビクトル・ヤヌコビッチ大統領が発表したのは2月19日のことだ。 流血を終わらせ、国に安定をもたらすための話し合いを始めるという内容だったようだ。 だが、その直後にネオ・ナチ、つまり「スボボダ」や「UNA-UNSO」などのメンバーが破壊活動を活発化、 石や火炎瓶を投げるだけでなく、ピストルやライフルを撃ち始めて死傷者が急増、合意を実行に移すことは困難な状況になった。 2月21日の合意が成立した段階では、アメリカのバラク・オバマ大統領は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と同じように外交的な解決を目指すつもりだったようだ。 だが、こうした方針を「ソフト」だと考えていたのがビクトリア・ヌランド国務次官補だ。 ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使と次期政権の閣僚人事を話し合っている際、 ヌランドは、EUが事態を外交的に解決しようとしていることに怒り、 「EUなんかくそくらえ( Fuck the EU )」という言葉を口にしたわけである。 暴力行為のエスカレートは、外交的な解決を破綻させる有効な手段だった。 「西側」のメディアは「平和的な市民」を「凶暴な警察隊」が弾圧したというストーリーで報道していた。 だが、実際は、棍棒やナイフで武装した反ヤヌコビッチ派が石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルを撃ち始めて血と火の海になったのである。 ウクライナの警官隊は、アメリカや日本に比べておとなしかった。 話し合いでウクライナの問題を解決させたくないため、 ネオコンはネオ・ナチに暴力のエスカレートを求めたのだろう。 そのためにネオ・ナチの立場は強くなり、暫定ファシスト政権で多くの主要ポスト、特に治安関係を手に入れることにつながったと見ることができる。 ネオコンは状況を格段に悪化させた。 ウクライナのネオ・ナチは単に暴力的だということに止まらない。 2004年からウクライナのファシストはバルト諸国にいくつもあるNATOをスポンサーとする施設で軍事訓練を受けている。 だが、それだけでなく、チェチェンでロシア軍と戦い、その残虐さで名前を知られるようになったアレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)のような人物、 あるいはシリアからウクライナ入りした約350名の戦闘員もいる。 リビアやシリアでも戦闘が本格化する際、正体不明の狙撃手が反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している。 ウクライナでも同じことがあったと言われている。 リビアやシリアでは狙撃が事態悪化の引き金になっているわけで、ウクライナ政府が反政府派と話し合いを進めている段階で狙撃するメリットはない。 ウクライナのネオ・ナチは軍事訓練を受けていたり、実戦の経験のあるメンバーがいるほか、シリアから入った戦闘員もいるのだが、 UNA-UNSO のメンバーがやったと言う人もいる。 UNA-UNSO は、ウクライナ政府の反腐敗委員会委員長や青少年スポーツ相にメンバーが就任しているネオ・ナチ団体だ。 私(櫻井春彦)はこれまでに何度も書いていることだが、ウクライナのナショナリストは歴史的にアメリカやイギリスの情報機関、そしてナチとの関係が深い。 戦後、アメリカはCIAの外部にOPC(オウ・ピー・シー)という破壊活動(テロ)機関を設置、 後にCIAへ潜り込んで計画局(後に作戦局へ名称変更)の母体になったのだが、 この機関はファシストのほか、マフィアやイスラム教スンニ派の武装集団(アル・カイダ)を手下として使っている。 OPCの元になったのは、第2次世界大戦でイギリスの秘密機関で心理戦、暗殺、破壊活動を担当していたSOE(エス・オウ・イー)と、 アメリカの戦時情報機関OSS(オウ・エス・エス これが後にCIAになった。引用者注)が、共同で設立したゲリラ戦部隊のジェドバラだ。 シェドバラは戦後も活動を秘密裏に継続した。 1949年にNATO(北大西洋条約機構。ヨーロッパ軍)が創設されるとその内部に秘密部隊が設置されるが、そのベースもジェドバラだ。 ジャーナリストのフィリップ・ウィランらによると、NATOへ加盟するには、その国は秘密の反共議定書(はんきょうぎていしょ)に署名する必要があり、 「右翼過激派を守る」ことを義務づけていると言われている。 こうした秘密機関の存在が公的に認められたのは1990年10月のことだ。 イタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相が「いわゆるパラレルSID - グラディオ作戦」という報告書を発表したのだ。 より正確に言うならば、発表せざるを得ないところまで追い詰められたのである。 (詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照。) この報告書のタイトルにもなっているが、イタリアでは秘密部隊を「グラディオ」と呼ぶ。 「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返し、左翼攻撃の環境を作り上げた「緊張戦略」の一環だった。 他の国では名称が違い、例えばデンマークはアブサロン、ノルウェーは ROC、ベルギーは SDRA8 。 ジョン・F・ケネディ米大統領暗殺やシャルル・ド・ゴール仏大統領暗殺未遂でもこの組織の名前が出てきた。 ウクライナのネオ・ナチが、バルト諸国にあるこれらの施設で軍事訓練を受けている背景はここにある。 (転載貼り付け終わり) 副島隆彦です。 このように櫻井春彦氏が書いている。 これだけの重厚な文を、自分の知能と思考力を使って、さらさらとネットの文章で読んで、全体をしっかりと理解することが出来るだけの頭(思考力)出来る人はそれほどいない。 だから、私、副島隆彦が、こういう生来、頭のいい緻密な文章を書く人の文を、何とか普通の読書人階級の優れた感受性をした人々に分かりやすく、“負焼(ふや)かして ”、易(やさ)しく書き直して伝えるのである。 生来、頭の緻密な人間たちというのも困った人たちだ。 情報をギューギュー詰めにするものだから、まわりの人たちが困ってしまう。 ここで、櫻井春彦氏は、優れたジャーナリストたちの間では、世界的に認められている事実として、 「・・・アメリカの親イスラエル派=ネオコンの・・・・手先として最前線で活動中のビクトリア・ヌランド国務次官補(アシスタント・フォー・ステイト・セクレタリー)は、 昨年12月13日、工作資金として50億ドルを投入していることを明らかにしている。 ウクライナの体制を転覆させるために(アメリカ政府は、すでに)50億ドル、ざっと5000億円を使っている・・・」 と書いている。 そして、実際に転覆させた。 このヌーランド女史というアメリカのれっきとした現職の、政府高官は、今も、米政府内にいる。オバマ大統領や、直接の上司である、ジョン・ケリー国務長官によって、辞めさせられたという話は、ない。 オバマや、ケリーでも手が出せないのだ。 つまり、アメリカのワシントンの政治の世界もまた、大きくふたつに割れて、そのままいがみ合いながら闘いを続けているということだ。 オバマたちはハト派である。立派である。 なるべく軍事紛争、外国への軍事侵攻をしたくない。 それに対して、ヒラリーや、ジョン・、マケインを頭にお仕立てて、アメリカの凶暴な対外政策の継続を実施しようとする連中が、こうして、公然とアメリカ政府の外交政策の中枢にいるのである。 このビクトリア・ヌーランドという高官の女は、ワシントンの政界では、ムーニー Moonie = 統一教会 Unification Church の信者だと公然と噂されている人だ。 その夫が、ロバート・ケーガンというネオコン派で、今も現職の政治助言者(政府審議会の委員クラス)でワシントンで動き回っている元高官だ。 だから、その 奥さんが、この ヌーランド 米国務次官補 である。 こういう人たちの恐ろしい動きが公然と、世界のメディアでは記事になっている。 彼女らが、今のネオ・ナチで人種差別主義者であり ( 日本で言えば、嫌韓論、悪韓=あくかん=論や、反中国、を書いて、喚(わめ)いている人たちと同類だ)、 今のウクライナの暫定政権のトップたちになっており、 そしてカア彼らを背後から褻(け)しかけて、資金を与えて、動かしているアメリカ人たちだ。 こういう事実を、NHK を含めた、日本の体制側の主流派のメディアは一切、流さない。 だから日本国民は、盲(めくら)、聾(つんぼ)、唖(おし)にされたままだ。 櫻井氏は、次のように書いている。 「・・・このヌランドが ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使 ( 副島隆彦注記。ヌーランド女史の同志で、ウクライナ政府を暴力的に倒した黒幕である米大使、その人) と電話で話し合っている内容が今月、YouTubeで明らかにされた。 その中でヌランドの口から 「EUなんかくそくらえ(Fuck the EU)」 という下品な言葉が飛び出し、話題になった」 である。 この ユーチューブを見た日本人の世界情報追っかけ人間の、インテリさんたちは多い。 "Fuck the EU! - Exactly!" - Victoria Nuland & Geoffrey Pyatt (※"Fuck the EU!"の台詞は、0:37の時点で出てきます。動画の下部の、右から4番目の四角いアイコンをクリックすると、英語字幕が表示されます。) このビクトリア・ヌーランドの夫の、ロバート・ケーガンの本は、翻訳が出ている。 それは、『 アメリカが作り上げた“素晴らしき”今の世界 』(ビジネス社、2012年2月刊、古村治彦 訳) である。 なんと、この本は、私、副島隆彦が監訳者として、その本の帯に、「ネオコンは世界支配を諦(あきら)めない」と打ち込んである。 「 オバマ政権にケーガンは、強い影響力を持つ。最新の米外の戦略論文!!」となっている。 本当になあ、こういうことなのですよ。 さらに櫻井氏は、 「・・・ ウクライナのネオ・ナチ (副島隆彦注記。現在のウクライナの暫定政権の主要な人間たち)は、単に暴力的だということに止まらない。 2004年からウクライナのファシストはバルト諸国にいくつもあるNATO(副島隆彦注記。アメリカが音頭を取って作った、集団的安全保障のヨーロッパ軍 )をスポンサーとする施設で軍事訓練を受けている。」 「 だが、それだけでなく、チェチェンでロシア軍と戦い、その残虐さで名前を知られるようになったアレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)のような人物、あるいはシリアからウクライナ入りした約350名の戦闘員もいる。 リビアやシリアでも戦闘が本格化する際、正体不明の狙撃手が反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している」 副島隆彦です。 こういうことを書いていると、本当に頭が疲れる。 あまりに重たい情報が、ごろごろと転がり、そして数珠つなぎで一斉にやってくる。 ですから、頭を休み休みしながらでないと、こういう 世界政治情報の優れた文を読み進めてゆくことは普通の人には、出来ないだろう。 私、副島隆彦の脳(頭。思考力)でもなかなか大変だ。 今度の2月21日、22日の、ウクライナの政変劇でも、実際には、 「・・・正体不明の狙撃手たちが、反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している」 が起きていることがはっきりした。 追放されたヤヌコビッチ大統領を守っていた警官隊と、それを素手の平和的な抗議行動だけで活動していた反政府勢力の 人々の 両方を、奇っ怪な、危険な集団が、その両方を、狙撃してたくさん(おそらく200名ぐらい)殺している。 この者たちが、どういう人殺し集団であるかを、日本にいる私たちも、本気で、明日は我が身、として真剣に考えた方がいい。 日本でも全く同じことが起きるのだと、考えることが最もずぐれた知性と頭脳の持ち主ということになる。 政治の世界は、本当に恐ろしいです。 素人さんが近寄ると、本当に撃ち殺されます。あるいは罠(わな)に引っ掛かります。 ウクライナの国会議事堂の前に、あちこち、たくさんお花が飾ってあって、 死んだ(殺された)者たちに、ウクライナのキエフの市民たちが、しょんぼりと追悼の祈りを捧げている映像なら、日本のニューズでもチラチラと、数秒間とか流れた。 ウクライナ国民なら、皆、噂が広がって真実を知っている。 しかし、本当の人殺しの、政治的な凶悪犯たちが、今、国民議会と暫定政権を支配しているのだから、怖くて滅多なことは口外出来ない。 そして、世界のメディアは、ロシアを非難することの一色だ。 政治家たちを始め、皆、大きな真実を知っているくせに、よく、言うよ、だ。 インテリ層のヨーロッパ人たちは、これらの真実を知ったので、EUの緊急閣僚会議でも、本当は、そんなに立派な感じの、ロシア批判など出来ない。 出来るわけがない。 自分たち白人優越主義者の方の、その 「白人(キリスト教徒)文明を押し広げよう」という態度が、問題なのだ。 ヨーロッパ人は、今は、みんな、しょんぼりしているのが一番、いい。 アメリカ人は、穏やかで、しっかりしたオバマたちを政権(執行部)を置いているので、まだ大丈夫なのだ。 が、如何せん、ヒラリーを先頭にして、凶暴な、おかしな連中を、ワシントンの政界、財界、官界にたくさん巣食わせているから、 この者たちを、何とかしないことには、やっぱり彼らを暴走させて、それで第三次世界大戦だ。 たいした知能もないくせに、「自分に考えは正しい。自分は頭がいい」などど、勝手に自惚(うぬぼ)れていると、 いいように騙(だま)されて操(あや)られて、時代(じだい)の中で、こき使われます。 そうやって民衆は、戦争に参加させられ、自ら戦場に行き、ひどい目にあったのだ。 それが人類の歴史だ。 今、反原発運動をやっているような人々の中に、へんなのがたくさん潜り込んでいますから、本当に気をつけて下さい。 私、副島隆彦は、それらのすべてを見抜くことの専門家です。 もっと言えば、超(ちょう)専門家です。 私、副島隆彦の 目の黒いうちは、すべての動きを見抜きます。 ですから、私、副島隆彦と学問道場への皆さんからの信頼が、貴重であり、重要です。 最後の最後は、何を信じ、誰を信頼するか、だ。 むずかしい政治の事件の新聞記事や 解説文を、読むだけで頭が痛くなる人がたくんさんいます。 その方がまともです。 自分に正直に。自分の肌合いの、実感で分かることだけを。 自分には、ここまでは分かった、と言うこと。 常に疑うこと、いや待てよ、そうではないのではないか、とためらい、注意深く、用心深く、警戒しながら行動すること。 それ以上は私は分からない、と言うこと。 難しそうなことを分かったふりをしないこと。 自分にはそれ以上は、分からない、と、 そのように自分のまわりにも言うこと。 この正直な生き方の態度さえあれば、大丈夫でしょう。 ・・・ 副島隆彦です。 以上が、3月6日に書いて、そのままほったらかした文です。 |
2014年4月29日火曜日
ウクライナ
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